この記事で学べること・ポイント
- マンションを相続した時の手続きの流れ
- マンションの相続税はいくらくらいかかるのか
- マンションの相続登記の方法と必要な書類・費用
- 相続したマンションを売却する際のポイント

マンションの所有者が亡くなった場合、その所有権は子どもや配偶者が相続することになります。
ですが、いざ自分が相続するとなった場合、「最初は何をすればいいの?」「相続税の支払いはどうする?」など、不安に感じることも多いでしょう。
相続税に関しては、2024年に評価のルールが見直されました。
さらに2024年4月以降は、マンションを含む不動産の相続登記が義務化されており、古い知識のままでは違反をしてしまうリスクもあります。
この記事では、マンションを相続した人が正しく手続きを進めていけるよう、全体の流れはもちろん、相続税や相続登記に関する知識をわかりやすく解説します。
A.基本的な流れは以下の6つ。
- 遺言書を確認する
- 相続人を確定する
- 相続財産を調査する
- (遺言書がない場合)遺産分割協議を進める
- 相続登記(名義変更)を行う
- 相続税を申告する
A.相続税を計算するために資産の価値を金額に置き換えたもの。
- 税法で決められたルールに基づいて評価する
- 市場価格とは異なる基準で算出される
- マンションは土地と建物の評価額をもとに算出する
A.一度相続人全員分の税総額を算出したあと、実際の取得割合で按分するという仕組み。
- 課税の対象となる財産を整理し、金額・評価額を合計する
- 合計額から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を算出する
- 課税遺産総額を法定相続分で仮配分し、税率を当てはめる
- 相続税の総額を実際の取得割合に基づいて按分する
A.マンションを相続したら、3年以内に相続登記(所有者の名義変更)が必要で、手続きには以下の費用がかかる。
手続き
- 戸籍の証明書を取得する
- (有効な遺言書がない場合)遺産分割協議・協議書を作成する
- 登記申請書を作成する
- 登記申請書を提出する
- 登記が完了する
費用
- 登録免許税
- 各書類の取得費
- 司法書士報酬
A.相続したマンションは売却できるが、手続きや税金などを確認したうえで進めることが大切。
- 相続登記が完了した後に売却できる
- 売却益が得られる一方で、税金や費用が発生する場合がある
- 取得費加算の特例など、税負担を軽減できる制度がある

マンションを相続した時の基本的な流れ

- 【遺言書を確認する】
遺言書の有無と内容を確認し、その内容に従って相続手続きを進める - 【相続人を確定する】
戸籍謄本をもとに法定相続人を確認し、相続手続きを行う権利を持つ人を確定する - 【相続財産を調査する】
マンションをはじめ、預貯金や負債を含む相続財産全体を調査し把握する - 【(遺言書がない場合)遺産分割協議を進める】
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決定する - 【相続登記(名義変更)を行う】
不動産の名義を故人から相続人へ変更する相続登記を行う - 【相続税を申告する】
相続税が発生する場合は、期限内に税務署へ申告・納税を行う
マンション相続時の基本的な流れは、下記の通りです。

遺言書を確認する
最初に遺言書の有無と、その内容を確認しましょう。
遺言書は、死後の財産の分け方に関して自らの意思表示をするための重要な法的書類です。
遺言は作成方法によって次の3種類に分けられます。
いずれも、法的に定められたルールに基づき作成・保管されていなくてはなりません。
また、内容の確認方法も法律で決められています。
| 遺言の種類 | 作成方法 | 保管方法 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言書 | 遺言者本人が手書きで作成する。 日付・氏名の記入、押印が必須。 |
遺言者本人が保管する。 または、自筆証書遺言保管制度を利用して法務局に預ける。 |
| 公正証書遺言 | 公証人が、遺言者の意思に従って文書を作成する。 作成には、遺言者本人のほかに証人2名の立会いを必要とする。 |
作成した公証役場で保管する。 |
| 秘密証書遺言 | 遺言者本人が作成した文書を、封筒に入れた状態で公証人と証人2名に提出して作成する。 その際、遺言者自身と証人2名の署名押印と、日付の記入が必要。 |
遺言者本人が保管する。 |
- 自宅の保管場所や貸金庫の中を探す
- 法務局で遺言書保管制度の利用有無を確認する
- 公証役場で公正証書遺言の検索を依頼する
- 付き合いのある弁護士・司法書士・信託銀行との取引履歴を確認する
なお、遺言書の中身を確認するには、法務局に保管されていた自筆証書遺言以外は家庭裁判所での手続きが必要です。
もしもそれ以外の方法で開封してしまった場合、過料の対象となるため注意しましょう。
日本公証人連合会:2 遺言
日本公証人連合会:第1 公証人の使命と公証業務について「公証人とは」
相続人を確定する
相続の手続きを進めるためには、遺言書の有無に関わらず、誰が相続を受ける権利を持つのかの確認が必要です。
民法では、相続を受ける権利を持つ人の範囲が、法定相続人として定められています。
法定相続人は、被相続人の戸籍謄本を収集して確認します。
- 配偶者
- 子ども
- (子どもが死亡している場合)直系の孫、もしくはひ孫
- 直系の尊属(両親や祖父母)
- 兄弟姉妹
上記は相続順位で記載をしています。
配偶者以外の相続人では、子ども(子どもが死亡している場合は孫やひ孫)が第一位となり、その後の順位にあたる親族は、上位の親族がいない場合にのみ法定相続人として数えられます。
マンションのように高額な資産がある場合、相続人の確定を誤ると後の登記や税務署への申告がやり直しになるため、丁寧に進めましょう。
相続財産を調査する
続いて確認すべきなのは、相続財産の全体像です。
マンションのような資産だけでなく、ローンや借金などの負債も含め、故人から何が残されているのかをくまなく確認します。
相続財産の把握には、次のような書類や情報の収集と確認が必要です。
- 預金通帳
- 預貯金口座や貸金庫の有無
- 証券会社からの郵便
- 固定資産税の通知書(☆)
- (個人事業主の場合)確定申告書
- 不動産の登記簿謄本(☆)
- 不動産の権利書(☆)
- ローン残債の有無(☆)
- 修繕積立金などの未払金の有無(☆)
- ローン以外の借入の有無
こちらも相続人の確定と同様に慎重に進めることが重要です。
必要に応じて金融機関などに問い合わせながら進めましょう。
遺言書がない場合は遺産分割協議を進める
遺言書が存在しない場合は、遺産分割協議をします。
なお、民法では法定相続人の範囲と共に、法定相続の配分も定められていますが、この配分に法的な拘束力はありません。
| 法定相続人の構成 | 法定相続の配分 |
|---|---|
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3、兄弟姉妹(複数人いる場合は全員で)4分の1 |
| 配偶者と子ども | 配偶者2分の1、子ども(複数人いる場合は全員で)2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 配偶者3分の2、直系尊属(複数人いる場合は全員で)3分の1 |
いくら親族といえど、公平な判断で遺産を分割しなければ、後々トラブルにつながりかねません。
遺言書がない場合は、法定相続人全員で懸念点が残らないようきちんと話し合いましょう。
相続登記(名義変更)を行う
マンションを誰が相続するのかが決まったら、相続登記を行います。
マンションの不動産登記簿の名義を故人から相続人に変更する手続きのことで、登記の申請は法務局に提出します。
- 相続登記は2024年4月から正式に義務化
- 提出の期限は原則、相続人本人が相続の事実を知ってから3年以内
- もし正当な理由なく期限を過ぎてしまった場合、10万円以下の過料の対象となる可能性がある
手続きのより詳しい内容は「マンションの相続登記(名義変更)の手続きと費用」で解説します。
相続税を申告する
相続登記が済み、相続税の納税まで完了すれば相続の手続きはひと段落です。
相続税は、納税者が管轄税務署に申告・納税します。
なお、この申告の期限は納税の事実を知った日の翌日から10か月以内です。
相続税の算出方法については、このあと「マンションの相続税はいくら?計算方法と基礎控除」で解説しますので、ぜひご覧ください。
マンションの相続税評価額とは?市場価格との違いと評価方法

- 【相続税評価額とは何か】
相続税を計算するために税法のルールに基づいて算出される資産の評価額 - 【土地と家屋の評価方法】
土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額をもとに相続税評価額が算出される - 【マンションの場合の評価方法】
土地と建物の評価額を合算し、区分所有補正率を反映して相続税評価額を算出する
相続税は、相続する資産の価値に対する割合で決まります。
その資産の価値を具体的な数字として表したものが相続税評価額です。
逆にいえば、相続税評価額がわからなければ相続税の額も算出できません。
マンションの相続税評価額について、その概要や市場価格との違い、算出方法を解説します。
相続税評価額とは何か
相続税評価額は、相続された資産にいくらの相続税を課すべきかを判断するため、資産の価値を金額に置き換えたものです。
マンションをはじめとする不動産は、市場の動向や消費者の需要に応じて価格が変動するため、相続税評価額のような基準を必要とします。
マンションの市場価格は、実際にその物件が不動産市場で売買される価格です。
物件自体の条件に加え、周辺の物件の動向や消費者の需要などさまざまな要素によって変動します。
それに対して相続税評価額は、路線価や固定資産税評価額など、税額を算出するための指標に基づいて決定されます。

算出の方法や目的が異なるため、市場価格と相続税評価額は乖離することも多いです。
国税庁:No.4602 土地家屋の評価
土地と家屋の評価方法
土地と建物では、相続税評価額の算出方法が異なります。
土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額をもとに評価します。

- 路線価方式(路線価が定められている地域)
- 倍率方式(路線価が定められていない地域)
路線価に、土地の形状や位置等に応じて補正を加え、面積をかけて算出します。
その土地の固定資産税評価額に、一定の倍率をかけて算出します。
固定資産税評価額は、都税事務所や、自治体の役所などで確認が可能です。
固定資産税評価額を1.0倍した額、つまり固定資産税評価額と同額となります。
マンションの場合の評価方法
マンションの評価額は下記のように求められます。
区分所有補正率は、マンションの資産価値を正しく評価するために導入されました。
以下のような指標をもとに、マンションの評価額が市場価格と乖離しないように補正します。
- 築年数
- 総階数
- 該当する住戸の所在階
- 該当する住戸の敷地持分狭小度
(敷地利用権の面積に対して専有部の床面積がどれくらいの割合か)
従来は、マンションも戸建ての住宅と同じように土地の評価額+家屋の評価額で算出していました。
しかし、それでは市場価格と乖離してしまい、実際の市場価格に対して相続税が少ない事例が多かったため、評価方法自体が見直されることになったのです。
マンションの相続税はいくら?計算方法と基礎控除

- 【相続税の基本的な計算方法】
相続税は、相続財産の評価額や基礎控除額などをもとに、決められた手順で計算 - 【相続税の基礎控除の計算式】
基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出 - 【相続税シミュレーション例】
具体例をもとに、相続税がどのように計算されるのかを確認 - 【相続税の主な特例と控除】
基礎控除や配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例などを活用することで、相続税を軽減できる場合がある - 【相続税がかからないケース】
遺産総額や適用できる特例・控除によっては、相続税がかからない場合がある
相続が発生した場合、多くの人が「相続税はいくらになるのか」を心配するでしょう。
結論からいえば、相続税は相続した資産の総額にかかるものではなく、総額が基礎控除額を上回った場合にのみ課されます。
相続税の金額がどのように決まるのか、詳しく見ていきましょう。
相続税の基本的な計算方法
相続税の計算は、遺産の総額に税率をかければいいわけではなく、一度相続人全員分の税総額を算出したあと、実際の取得割合で按分するという仕組みになっています。
一見ややこしい仕組みとなりますが、4段階に分けて解説しましょう。
-
STEP1課税の対象となる財産を整理し、金額・評価額を合計する
預貯金、不動産、有価証券など、相続財産とみなされるすべての資産について、税法に基づいて相続税評価額を算出・合計します。
なお、次のものについては非課税財産となるため、この時の計算には含みません。
- 墓所、仏壇、祭具など
- 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
- 生命保険金のうち、法定相続人の数×500万円まで(超過分は課税対象)
- 死亡退職金のうち、法定相続人の数×500万円まで(超過分は課税対象)
-
STEP2合計額から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を算出する
相続税がかかる財産の総額を計算するステップです。
実際に相続税がかかるのは、財産の総額から基礎控除額を引いた額のみです。
この時、総額が基礎控除額を下回れば、相続税はかかりません。
基礎控除額の算出方法については、この後の項目「相続税の基礎控除の計算式」で詳しく解説します。
-
STEP3課税遺産総額を法定相続分で仮配分し、税率を当てはめる
課税遺産総額が算出できたら、それを法定相続分で一度配分して、それぞれの相続人の取得額に相続税の速算表に基づいた税率を適用し、税額を出します。
相続税の速算表は、国税庁が定めている、金額に応じて課せられる相続税の割合と控除額を表にまとめたものです。
以下が相続税の速算表です。
法定相続分に応じた取得金額 税率 控除額 1,000万円以下 10% - 1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円 3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円 5,000万円超~1億円以下 30% 700万円 1億円超~2億円以下 40% 1,700万円 2億円超~3億円以下 45% 2,700万円 3億円超~6億円以下 50% 4,200万円 6億円超~ 55% 7,200万円 なお、この表における控除額は、基礎控除とは別に適用されるものです。
森本どうして実際に相続を分割する時の割合ではなく、法定相続分を用いるのですか?西村分割の仕方によって税額が変わることを防ぐためですよ。法定相続分による配分と速算表を利用した計算により出た金額を合計したものが、この相続によって発生する相続税の総額です。
実際の分割の割合は各家庭によって異なるため、税額がぶれずに算出されるよう、一律で法定相続分が計算式に用いられます。
-
STEP4相続税の総額を実際の取得割合に基づいて按分する
相続税の総額を算出したら、この時初めて実際の遺産の取得割合に応じ、各相続人にそれぞれが請け負う相続税を割り振ります。
その後、配偶者の税額控除をはじめ各種控除を適用して、最終的な各自の納付税額が確定します。
国税庁:No.4155 相続税の税率
国税庁:財産を相続したとき
相続税の基礎控除の計算式
相続税には、一定金額までは課税が発生しない基礎控除が設けられています。
法定相続人の数により基礎控除額がどのように変わるか、下記の表にシミュレーションをまとめました。
| 法定相続人の構成 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 配偶者あり、子ども0人 | 3,600万円 |
| 配偶者あり、子ども1人 | 4,200万円 |
| 配偶者あり、子ども2人 | 4,800万円 |
| 配偶者なし、子ども1人 | 3,600万円 |
| 配偶者なし、子ども2人 | 4,200万円 |
| 配偶者なし、子ども3人 | 4,800万円 |
相続税シミュレーション例
<例>
- マンションを含む遺産総額が6,000万円
- 法定相続人が子ども2人
- 相続税評価額4,000万円のマンションを長男が相続
この場合、長男に課税される相続税は次のように算出します。

- 基礎控除を計算
基礎控除額=3,000万円+600万円×2人=4,200万円 - 課税遺産総額を計算
6,000万円-4,200万円=1,800万円 - 法定相続分で仮に配分する
子2人なので各1/2
1,800万円÷2=900万円 - 速算表で各自の仮の税額を計算
900万円は「1,000万円以下」なので、税率10%、控除額なし
900万円×10%=90万円
それぞれ90万円 - 相続税の総額
90万円×2人=180万円 - 実際の取得割合で按分
長男:4,000万円取得÷6,000万円=2/3
次男:2,000万円取得÷6,000万円=1/3 - 長男の相続税は、
180万円×2/3=120万円
※各種控除や特例の適用はないものとする
相続税の算出は、複数の段階と計算式を用いた複雑な手順となります。
実際に相続が発生した場合は、プロの税理士にサポートを依頼するのが良いでしょう。
相続税の主な特例と控除
相続税は、適用できる特例次第で納める額が大きく変わります。
マンションの相続にも関係する代表的なものを確認しておきましょう。
①小規模宅地などの特例
相続される土地のうち、その土地の区分に応じて定められた面積分に対し、一定の割合が減額されます。
マンションの相続において、特に気をつけるべきなのがこの小規模宅地などの特例です。
| 土地の区分 | 減額が適用される面積 | 減額率 |
|---|---|---|
| 居住用で一定の要件を満たすもの | 330平方メートル | 80% |
| 事業用で一定の要件を満たすもの | 400平方メートル | 80% |
| 貸付用で一定の要件を満たすもの | 200平方メートル | 50% |
例えば65平方メートルのマンションを相続し、基本的な計算式にのっとって算出した税額が120万円の場合、この特例を適用すれば実際に納める金額を24万円にまで節税できます。
②配偶者の税額軽減
法律上の配偶者が相続人である場合、1億6,000万円もしくは法定相続分相当額のいずれか大きい金額まで、相続税がかからない制度です。
申告期限は相続を知った日から10か月以内のため、それまでに遺産分割を完了させましょう。
③生命保険金の非課税枠
相続税法により、死亡時に降りる生命保険金は、以下の金額まで非課税となります。
④相続税の取得費加算の特例
こちらは、相続したマンションの売却を検討している人にとって特に重要な制度です。
相続税を支払ってマンションを相続した人が、相続開始から3年10か月以内にそのマンションを売却した場合、支払った相続税をマンションの取得費として計上できます。
相続税をマンションの取得費とみなすことで、売却時の譲渡所得税の軽減につながります。
⑤障がい者控除・未成年者控除
相続人が85歳未満の障がい者である場合や、18歳未満の未成年者である場合、一定の金額を相続税から控除できます。
- 特例の中には相続税の申告書の提出が必須となるものがある
- 申告を怠ると、受けられるはずの特例が受けられず、本来払わなくてもいい相続税を払うことになる
相続税がかからないケース
以下のような場合には、相続が発生しても相続税が全くかからないこともあります。
- 遺産総額が基礎控除額を下回る場合
- 相続人が配偶者の時、配偶者の税額軽減を適用した結果、税額が0となる場合
- 小規模宅地などの特例を適用した結果、課税遺産の総額が基礎控除額を下回る場合
マンションの相続登記(名義変更)の手続きと費用
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- 【相続登記が必要な理由】
過料や売却・名義変更ができないなどの不利益を避けるため - 【相続登記申請の流れと必要書類】
戸籍謄本などの必要書類を準備し、法務局へ申請する流れで進める - 【相続登記にかかる費用(登録免許税・書類取得費・司法書士報酬)】
相続登記には、登録免許税や書類取得費、司法書士報酬などの費用がかかる - 【自分で相続登記をする方法】
自分でも手続きできるが、必要書類や申請内容を正確に準備する必要がある
マンションを相続したら、相続したことを知った日から3年以内に相続登記、つまり所有者の名義変更が必要です。
具体的な手続き方法と、かかる費用について解説します。
相続登記が必要な理由
2024年4月以降、マンションを含む不動産を相続した際は登記することが義務付けられています。
相続登記は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。
そのため、もし相続済みで登記を済ませていない不動産がある場合、下記いずれか遅い方の日付を起点として3年以内に手続きをしなくてはいけません。
- 2024年4月1日
- 相続を知った日
相続登記をしなかった際に起こりうる主なリスクは次の通りです。
- 過料が発生する
- 売却・賃貸・担保設定ができない
- 後々手続きが煩雑になる
正当な理由なく、定められた期限内に相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が課せられる可能性があります。
マンションの売却や賃貸、担保設定は、いずれも名義人本人でなくてはできません。
手続きをせず、亡くなった方の名義のままでいると、いざという時にマンションを資産として活用できなくなってしまいます。
相続登記をしないままで相続人が亡くなった場合、その相続人自身からの相続も発生する数次相続が発生します。
数次相続は手続きがより複雑になるため、早めに相続手続きを済ませておくことが大切です。
また、遺産分割協議がすぐに終わらない場合は相続人申告登記という簡易制度の利用もできます。
相続人申告登記は、遺産分割協議が長引きそうな時、自らを相続人として法務局に先に申し出ておく制度です。
これを行っておくと、遺産分割協議が終わらずに3年が経過してしまっても、過料のリスクを避けることができます。
ただし、この制度はあくまでも相続人であるということだけを申告するものです。
遺産分割協議の結果が整い次第、すみやかに正式な相続登記をして名義変更を行いましょう。
相続登記申請の流れと必要書類
相続登記の基本的な流れは、次の5つのステップに分けられます。
各ステップで用意すべき書類もあわせて解説していきます。
-
STEP①戸籍の証明書を取得する亡くなった被相続人の戸籍謄本を取得します。
法定相続人を特定する目的のほか、相続開始の証明にもなります。
<必要な書類・関連書類>亡くなった被相続人の戸籍謄本:出生から死亡に至るまでのすべて。
本籍のある市区町村へ請求する。
-
STEP②(有効な遺言書がない場合)遺産分割協議・協議書を作成する協議を行うと同時に、話し合いによって確定した相続内容を書面化します。<必要な書類・関連書類>
遺言書:有無と内容を確認する。
遺産分割協議書:遺産分割協議によって決まった、各相続人がどの割合で財産を引き継ぐかを明記した書類。
相続人全員が印鑑証明書と同じ実印を押す。
-
STEP③登記申請書を作成する法務局(登記所)に提出するための書類を作成します。<必要な書類・関連書類>
登記申請書:登記の申請内容を記した文書。
書面、もしくは法務省の「登記・供託オンライン申請システム」でオンライン作成する。
登記申請書には、下記に一覧する添付情報も必要。
- 亡くなった被相続人の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人の住民票
- 固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
- 遺言書(存在する場合)
-
STEP④登記申請書を提出する③で作成・用意した書類を、法務局(登記所)へ提出します。
-
STEP⑤登記が完了する法務局(登記所)から登記完了証・登記識別情報通知書が交付された時点で、登記手続きは完了します。
あとで詳しく説明する通り、相続登記の手続きを自分で行うことも可能です。
しかし、専門的な内容が多く複雑であるため、司法書士事務所など専門家の窓口へ相談するほうが良いでしょう。
相続登記にかかる費用(登録免許税・書類取得費・司法書士報酬)
不動産の相続登記にかかる主な費用は、次の3点です。
- 登録免許税
- 各書類の取得費
- 司法書士報酬
不動産の登記そのものにかかる税金です。
評価額が4,000万円の不動産の場合、4,000万円×0.4%=16万円となります。
戸籍謄本や住民票など、必要書類の取得費用として、合計数千円~1万円程度かかります。
司法書士へ対応を依頼した場合の報酬です。
依頼内容や地域により差はありますが、一般的には5万円~15万円程度が必要となります。
司法書士に依頼して相続登記を進めた場合、標準的な住居用不動産であれば、20~30万円程度が費用相場の目安とされています。
自分で相続登記をする方法
相続登記は相続した本人が自分で行うことも可能です。
自分で相続登記を行えば、司法書士報酬を節約できます。
具体的な手順は「相続登記申請の流れと必要書類」で紹介した通りです。
ただし、戸籍の収集や書類の作成にはかなりの時間がかかるため、相続人が3人以上いたり権利関係が複雑だったりする場合は、専門家へ依頼する方が負担が少なくおすすめです。
相続したマンションを売却する際のポイント

- 【相続したマンションはいつ売却できる?】
相続登記(名義変更)が完了すれば、相続したマンションを売却できる - 【売却のメリットとデメリット】
売却益や維持費の負担軽減が期待できる一方、税金や手続きの負担が発生する - 【売却後にかかる税金】
売却で利益が出た場合は、譲渡所得税などの税金がかかる - 【相続した不動産を売却する際に使える特例】
取得費加算の特例などを活用することで、売却時の税負担を軽減できる場合がある
相続したマンションは、そのまま保有していれば自分で居住する、もしくは賃貸に出すことができます。
その一方で、売却をして売却益を得るというのも選択肢のひとつです。
相続したマンションを売却するにあたり、把握しておきたいポイントを解説します。
相続したマンションはいつ売却できる?
相続したマンションは、原則として相続登記が完了した後に売却が可能となります。
遺産分割協議が終わっていない場合や、名義変更が済んでいない場合は売却できません。
売却のメリットとデメリット
相続したマンションを売却した場合のメリット・デメリットは次の通りです。
- まとまった金額の売却益が手に入る
- 維持管理の負担がなくなる
- 固定資産税、修繕積立金、管理費などの固定費用を減らせる
- 譲渡所得税が発生する
- 相続手続きから続けて売却の対応・手続きを進めることになり、負担が大きい
- 不動産市況により、必ずしも期待通りの価格で売却できるとは限らない
なお、マンションの売却については下記の記事で詳しく解説しているため、あわせて読んでみてください。
売却後にかかる税金
マンションを売却して利益が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税や住民税が課せられます。
譲渡所得の計算式は次の通りです。
下記の記事では、マンション売却にかかる費用について解説しています。
ぜひこちらも参考にしてください。
相続した不動産を売却する際に使える特例
次に挙げるのは、相続したマンションの売却で利用できる可能性のある特例です。
- 取得費加算の特例
- マイホームの3,000万円特別控除
相続開始から3年10か月以内に売却が完了した場合、支払った相続税額の分、譲渡所得税を軽減できる制度です。
相続したマンションに一度住んでおり、その後に売却をする場合は、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除が適用できる可能性があります。
いずれの制度も適用条件が細かく設定されているため、どんな場合が対象となるのか確認しておきましょう。
なお、マンション売却に関連する税金と控除についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
まとめ

ご家族の大切な資産を次の世代に着実に残すため、相続の手続きは決められた制度に則り期限を意識しながら進めることが重要です。
複雑な制度や仕組みが関わってくるため、実務の場面で不安がある場合は、税理士や司法書士などの専門家へ相談しつつ着実に進めていきましょう。
この記事の結論・まとめはこちら
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