この記事で学べること・ポイント
- 地盤の強さはマンションの防災にどのような影響を与えるのか
- 地盤の弱いマンションにはどんなリスクがあるのか
- 地盤の強さの調べ方
- 地盤が弱い場合の対策方法

日本は地震大国です。
2000年代以降だけでも、東日本大震災や能登半島地震などマグニチュード7.0を超える震災が複数回起きており、今後も南海トラフ地震をはじめ大規模な地震災害が予測されています。
そのため、マンション選びの上で地震をはじめとする災害への備えを重視する方は多いでしょう。
この記事では、防災の観点から見落とせない、マンション選びにおける地盤の重要性について詳しく解説していきます。
- 地震被害は揺れの強さだけでなく地盤の強弱に大きく左右される
- 軟弱地盤では揺れが増幅しやすい
- 液状化や沈下リスクがある
- 建物性能だけでは地盤そのものは変えられない
- 資産価値の下落
- 液状化
- 地盤沈下
- 不同沈下(建物の傾き)
- 基礎や外壁のひび割れ
- 配管やインフラの損傷居住性・安全性・資産価値に直結する
- ハザードマップで浸水・液状化・揺れやすさを確認
- ボーリング調査(柱状図)を確認
- 地盤情報サービスを活用
- 古地図や航空写真で過去の土地利用を確認
- 海・河川・埋立地かどうかを確認
【新築】
- 地盤調査結果の確認
- 地盤に適した基礎設計か確認
【中古】
- 不同沈下や傾きの有無
- 基礎や外壁のひび割れ
- 過去の修繕履歴
- 地盤改良工法と調査結果の整合性を確認
- 杭が支持層まで到達しているか確認
- 免震・制震構造の有無を確認
- 地震保険への加入
- 建築士や地盤専門家への相談

なぜマンション選びで「地盤」が重要なのか

- 【「強い地盤」と「弱い地盤」の違い】
地盤の「強い・弱い」は土地の地質が硬く安定しているか、柔らかく水分を多く含んでいるかの違いがある。 - 【マンション構造だけでは変えられない地盤の強弱】
最新の耐震・免震構造で倒壊リスクは抑えられるが、建物の工夫では地盤そのものの強弱は変えられないため、地盤の確認は不可欠。 - 【能登半島地震などから見る地盤リスク】
令和6年能登半島地震 が示す通り、地震被害は揺れだけでなく地盤の弱さに大きく左右されるため、地盤の安定性は極めて重要。
地盤とは、建物を支える基礎となる土地のことです。
この土地がもし柔らかかったり、崩れやすかったりする場合、上に建つ建物には、地震や豪雨などの災害による影響を受けるリスクがあります。
つまり、地盤の強さは住まい選びの大きな安心材料となるのです。
「強い地盤」と「弱い地盤」の違い
地質が硬いか柔らかいかは、その土地の成り立ちや、地質の成分によって決まります。
- 岩盤を含む山地や丘の上
- 台地
- 洪積層にある土地
- 扇状地
- 埋立地
- 川沿いの低地
- 過去に池・沼・湿地だった土地
- 盛り土された土地
- 沖積層にある土地
川や海などの水場に近い地域は、泥や腐葉土など水分を含んだ成分が堆積しやすく地盤の弱いケースが多いです。
水分を含みやすく土が強く固まりきっていない土地は、地震が起きた場合、地面自体が大きく揺れたり、ひび割れや液状化、沈下がおきやすいリスクがあるのです。
下記の記事もあわせて参考にしてください。
マンション構造だけでは変えられない地盤の強弱
マンションは、建築基準法の耐震基準をクリアした、安全性の高い構造で建てられています。
1981年6月以降に施行された新耐震基準における強度の基準は、震度6強から震度7程度の地震に対して建物が倒壊・崩壊しない程度です。
そのため、マンションには下記のような耐震構造が採用されています。
- 耐震構造
- 免震構造
- 制振構造
そして、地盤リスクへの対策としては下記のような規定があります。
- 地盤調査を行うこと
- 地盤が支えられる重さ、基礎杭が支える力を算出すること
- 地盤の状態を前提に基礎設計を適切に行うこと
- 建築確認申請の際に、地盤調査の結果、基礎設計を含めた構造計算を提出すること
ただし、いくら設計・建設時に対策を打っても、数百年~数千年レベルで堆積してきた地質を変えることはできません。
より安全性の高い住まいを求めるのであれば、やはり地盤の強さは重視するのがおすすめです。
能登半島地震などから見る地盤リスク
2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」でも、地盤の弱さによるリスクが浮き彫りとなりました。
地震の揺れそのものだけでなく、地盤の弱い地域では液状化や地盤沈下、家屋の倒壊やライフラインの寸断など、甚大な被害が引き起こされたのです。
特に沿岸部や河川沿いの埋立地など、もともと地盤が弱い地域では、その影響が顕著に現れました。
過去の地震災害の事例を紐解くと、地盤の弱い地域ほど被害が大きくなる傾向が明らかです。
建物の耐震性はもちろん重要ですが、地盤の安定性も同様に、あるいはそれ以上に重要な要素となります。
マンションで起こり得る地盤リスクとは

- 【地盤が弱いと起こる問題(傾き・不同沈下)】
地盤が弱いと液状化や不同沈下が起こりやすく、建物の傾き・基礎損傷・高層階の揺れ増幅など生活と安全に大きな影響が出る。 - 【マンションの地盤沈下が起こる原因】
粘土層の水分減少(地下水の過剰くみ上げ)や地震による液状化によって地層が収縮し、地盤沈下が発生する。 - 【地盤沈下がマンションに与える影響】
建物の傾きや配管破損など居住性・安全性を損ない、さらに資産価値の低下にもつながる。
軟らかい地盤のことを軟弱地盤と呼びます。
軟弱地盤特有のリスクを把握しておくことは、地震に強いマンション選びにおいて大切です。
マンションでの暮らしにおいて、地盤の弱さがどのような影響を与えるかを解説します。
地盤が弱いと起こる問題(傾き・不同沈下)
そのほかにも、地盤が弱い地域では過去に以下のような問題が起きています。
- 土地の液状化
- 建物の倒壊
- 建物の基礎の傾き
- 建物の変形
- 建物の不同沈下
また、柔らかい地盤の土地は地震により揺れやすいため、特にマンションの高層階は揺れの影響を大きく受けます。
建物自体に損壊や不具合が起こらなくても、住まいの中で家具が倒れるなどの危険が起きやすいのです。
マンションの地盤沈下が起こる原因
地盤沈下は、地層の中の粘土層が厚く、柔らかい地盤の地域で起こる現象です。
この要因に、地下水の過剰なくみ上げがあります。
地下水が過剰にくみ上げられて地下水位が下がると、地下水の通っている帯水層の水圧が低下し、その上にある粘土層の中の水分が帯水層へ移ります。

水分を取られた粘土層は収縮するため、結果地面全体が下がるというのが、一般的な地盤沈下の仕組みです。
一方で、地震により地盤沈下が起こることもあります。
この場合、原因となるのは地盤の液状化です。
地盤沈下がマンションに与える影響
まず懸念されるのは、建物の傾きや不同沈下です。
建物がわずかでも傾くと、室内の床が水平でなくなったり、ドアや窓が閉まりにくくなったりするなど、日常生活に支障が出ます。
さらに、建物の基礎部分にひび割れが生じたり、配管や排水設備にズレが生じるリスクもあります。
給排水管が破損すると、水漏れや悪臭の原因になり、大規模な修繕が必要です。
不同沈下や基礎トラブルが発生したマンションは、売却時に価格が下がる可能性があります。
地盤沈下は、建物の倒壊に直結しないケースでも、居住性・安全性・資産価値の三つに影響を与えてしまいます。
そのため、購入前の地盤確認と、異変が見られた場合の早期対応が重要なのです。
マンションの地盤を調べる方法【購入前必須】

- 【ハザードマップで確認できること・注意点】
国や自治体のハザードマップで浸水・液状化・揺れやすさなどの災害傾向を把握できるが、あくまで想定リスクの目安。 - 【「KuniJiban」の地盤調査データ(ボーリング調査)の見方】
KuniJibanではボーリング柱状図や土質試験結果を確認でき、地層構成や軟弱層の有無まで具体的に把握できる。 - 【「GEODAS(ジオダス)」など地盤情報サービスの活用】
GEODAS などの民間サービスを使えば、地形分類や軟弱地盤マップから土地の地盤傾向を確認できる。 - 【周辺環境・過去の土地利用のチェック方法】
海・河川近接の有無や、古地図・航空写真で湿地・池・埋立地などの履歴を確認することで、地盤の弱さを推測できる。
私たち一般市民でも、ネット上で公開されているデータをもとに地盤の強さを調べることは可能です。
ハザードマップで確認できること・注意点
国土交通省や自治体が公表しているハザードマップでは、該当する地域の災害リスクの情報や、万が一の際の避難場所などを確認できます。
- 洪水浸水の想定区域
- 土砂災害の危険区域
- 高潮による危険区域
- 津波による危険区域
- 道路防災情報
- 地形分類
- 地域ごとの液状化の危険度
- 地域ごとの揺れやすさ
国土交通省の提供している「重ねるハザードマップ」では、住所を入力するだけで、特定地域の災害リスクを災害種別ごとに確認できます。

ただし、ハザードマップの内容はあくまでも傾向としての目安である点に注意が必要です。
「KuniJiban」の地盤調査データ(ボーリング調査)の見方
「KuniJiban」は、国土交通省、国立研究開発法人土木研究所、国立研究開発法人港湾空港技術研究所が共同で運営する、地盤情報の検索サイトです。

このサイトでは、国土交通省が行ってきたボーリング調査(地質・土質調査)の結果や、土質試験の結果による地盤情報の検索・閲覧ができます。
- KuniJibanにアクセスする
- 調べたい地点の座標で検索をかける
- 該当地域のボーリングデータ柱状図や、土質試験結果を確認する
「GEODAS(ジオダス)」など地盤情報サービスの活用
ジオテック株式会社が運営する地盤情報サイト「GEODAS」など、民間の地盤情報サービスもあります。

GEODASの一部メニューは法人・事業者を対象とした会員専用サービスですが、「地形で見る軟弱地盤マップ」は登録なしで誰でも利用が可能です。
「地形で見る軟弱地盤マップ」は、住所から検索した指定地域で、過去に行われた地盤調査の結果による地盤の状態や、腐葉土の有無などを確認できます。
周辺環境・過去の土地利用のチェック方法
ここまでに紹介している通り、周辺に海や河川のある地域は、地盤が軟弱になりやすい傾向があります。
さらに注目したいのが、過去の土地利用の履歴です。
その土地が昔どのような状態であったのかを知ることが、地盤の状態の予測に役立ちます。
特に、下記のような履歴のある土地は、地盤が柔らかい可能性があり、注意が必要です。
- 湿地
- 池
- 河川
- 干拓地
- 埋立地
新築・中古マンションで異なる地盤チェックポイント

- 【新築マンションの場合の確認ポイント】
事前の地盤調査結果と、その地盤に適した基礎設計(杭の深さ・工法など)が取られているかを必ず確認することが重要。 - 【中古マンションならではの注意点】
基礎や外壁のひび割れ・不同沈下の有無、地面とのズレ、過去の修繕履歴など実際の建物状態から地盤影響を確認することが重要。
新築マンションと中古マンションでは、地盤の状態を確認する上で注目すべきポイントが異なります。
以下に、それぞれのポイントを整理していきます。
新築マンションの場合の確認ポイント
新築マンションでは、下記の点から地盤の状態をチェックします。
- 事前に行われている地盤調査の結果
- 地盤の状態に対して適した基礎設計が行われているかどうか
新築マンションの建設前には、地盤調査が行われます。
調査の結果、もし軟弱な地盤であれば深く杭を打つなどの対策をとるためです。
マンションの購入前には、必ず担当者へ地盤調査の結果と、それに基づきどのような設計の対策がとられているかを確認しましょう。
中古マンションならではの注意点
中古マンションの場合は、すでに建物があるため、マンション自体の現状や、過去の地盤リスクによる影響の有無を確認します。
中でも注目したいのは、建物自体の経年変化がどう現れているかです。
チェックの際は、下記の点を意識しましょう。
- 基礎の部分や外壁にひび割れ、ズレはないか
- 地面との段差がないか
- 地面と整合のとれていない箇所はないか
- 過去の修繕工事の内容
もちろん、新築・中古を問わず、ハザードマップや地盤調査結果など複数の情報をもとに判断することが大切です。
地盤が不安な場合の対策と判断基準

- 【地盤改良工事・杭基礎の考え方】
地盤調査結果と改良工法(表層・柱状・杭など)の整合性や、杭が強固な支持層まで十分に到達しているかを確認する。 - 【免震・制震構造が採用されているか確認】
軟弱地盤で揺れが増幅しやすい場合に備え、地盤条件に適した免震・制震構造が採用されているかを確認することが重要。 - 【自分でできる対策:地震保険・専門家相談の活用】
地震保険への加入や建築士・地盤調査会社への相談により、リスクへの備えと客観的な安全性判断を行うことが有効。
調査により地盤の状態が強固ではないことがわかっている土地では、建設時に下記のような対策がとられることが一般的です。
- 地盤改良工事を実施する
- 杭基礎を深く設計する
また、多くのマンションでは、設計時に地震の揺れに対して建物が強くなるように構造が設計されています。
地盤が不安な場合にとられる対策と、自身でできる判断の基準について紹介します。
地盤改良工事・杭基礎の考え方
地盤改良工事は、軟弱地盤への対策として行われます。
その工法にはいくつか種類がありますが、大切なのは、下記を把握することです。
- どのような地盤リスクがあり、地盤改良工事が必要とされたのか
- 実際に採用されたのはどんな工法で、どのような根拠にもとづいて採用されたのか
- 表層改良工法
地表面~2mまでの浅い層の地盤を改良する工法。セメントなどを土に混ぜて締め固める。 - 柱状改良工法
土中にコンクリートなどで柱をつくり、地盤を安定させる工法。地表から2m~8mに軟弱地盤がある場合に採用されることが多い。 - 鋼管杭工法
土中に鋼管杭を打ち込んで地盤を安定させる工法。地層から8m以上の深い位置に軟弱地盤がある場合に採用されることが多い。地中30mまで地盤を補強できる。 - 既成コンクリートパイル工法
鋼管杭工法と同じく、軟弱地盤が地中8mよりも深い位置にある場合によく採用される工法。鋼管杭の代わりに、コンクリートの既成パイルを用いる。
調査結果でわかる軟弱地盤の場所と、実際に採用されている工法の整合がとれているかどうかを確認するのがポイントです。
一方で杭基礎は、建物の基礎部分の杭を安定した支持層まで届くように打ち込んで建物を支えるために存在します。
深さだけでなく、杭の種類や長さ・数量も、地盤条件に適しているかどうかを判断しましょう。
免震・制震構造が採用されているか確認
免震構造・制震構造はともに、地震による建物のリスクを低減させるために採用される構造です。
どちらの構造も、軟弱地盤で必ず採用されるわけではありません。
ですが、地盤リスクのある土地は揺れやすいため、揺れの低減対策の有無は重要です。
採用されている構造が地盤の条件や特性に適しているものかどうかをきちんと確認しましょう。
自分でできる対策:地震保険・専門家相談の活用
自分自身でできる対策が、地震保険への加入や専門家への相談です。
地震保険や火災保険は、万が一の時に家財や生活を守るのに役立ちます。
下記の記事で地震保険の内容や、選び方のポイントを詳しく解説しているためぜひ参考にしてみてください。
ハザードマップやボーリング調査の結果を見ても、自分だけでは判断が難しいと感じるかもしれません。
建築士や地盤調査会社などの専門家は、地盤に対する客観的な評価やアドバイスをしてくれますので、適切に活用しましょう。
まとめ

この記事の結論・まとめはこちら
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