この記事で学べること・ポイント
- 「フラット35」の特徴について
- 「フラット35」のメリット・デメリットについて
- 審査で注意すべきポイント・審査に落ちないためのポイント
「フラット35」は最長35年間にわたりローン金利が固定になる住宅ローンです。
保証人や、繰上返済の手数料が不要などの特徴があります。
一方、借入希望額に対して、問題ない返済負担率の年収があるにもかかわらず、下記のような状況下で、審査に落ちてしまう人も少なくありません。
- 税金やクレジットカードなどの支払いを滞納している
- 既に他にローンを借りている
- ローンを活用して購入を検討している物件の担保価値が低い
この記事では「フラット35」の基本的な特徴を紹介したうえで、審査に落ちる原因についても解説します。
「フラット35」とは?他のローンとの違いは?
「フラット35」は、就業年数や雇用形態などの制限が少ないため、多くの人にとって、借り入れしやすいのが特徴です。
「住宅金融支援機構」は、住民金融市場における安定的な資金供給を支援し、住生活の向上に貢献する組織です。
「フラット35」とは各制約が緩く、借り入れしやすい住宅ローン
基本的な特徴として次のようなポイントがあります。
- 最長35年間全期間にわたり固定金利
- 融資限度額は8,000万円
- 団体信用生命保険(以下「団信」)への加入不要
- 保証人は不要、繰り上げ返済手数料不要
一番の特徴は「金利」が全期間で固定金利となる点にあります。
すなわち返済が完了するまでローン金利が上昇する心配がありません。
逆を言えば、変動金利と異なり「ローン金利が低下するチャンスもない」ということにもなります。
また団信への加入が不要なのも、民間の金融機関が提供するローンと異なる点です。
「フラット35」は住宅保有を促進する国の政策を担っている部分もあり、民間金融機関が提供するローンと比較すると制約が緩くなっています。
60歳代など比較的高齢でも利用可能な他、正社員かどうかなどの雇用形態や、勤続期間の制約もありません。そのため、転職直後や自営業の方にとっても利用しやすい住宅ローンといえます。
また個別の審査次第にはなるものの、所得が比較的低い方でも借り入れるチャンスは充分あると言えます。
「フラット35」は全期間にわたり固定金利
「フラット35」と民間金融機関が提供する他の主要な住宅ローンを比較すると、大きく次のような点が異なります。
「フラット35」は、
- 最長35年間、ローンの支払金利が固定であること
- 住宅金融支援機構における技術基準についての物件検査をクリアすること
- 民間金融機関の住宅ローンよりも審査が通りやすい場合があること
金利が全期間にわたり固定であるのが「フラット35」の一番の特徴です。
一般的な住宅ローンは変動金利、固定金利にかかわらず、金利の期間が限られているものが多いです。
変動金利、期間が短い固定金利の住宅ローンの方が、金利が低いのが一般的ですが、その分将来金利が上昇するリスクを負っています。
一方で、「フラット35」のデメリットとなる点は以下です。
- 借入金利を変動金利、期間が短い固定金利の住宅ローンと比較すると、相対的に金利が高い
- 将来金利が下がっても、全期間固定金利のため、金利が下がることはない
- 購入する住宅について、独自の検査基準があり、当該条件をクリアした物件でないと利用できない
「フラット35」を利用するためには、考慮すべき点をしっかりと把握した上で申込を検討をする必要があると言えるでしょう。
「フラット35」と民間金融機関の金利比較
住宅ローン | 金利 |
---|---|
フラット35(融資率90%以下で最も多い金利) ※1 | 1.650% |
某都市銀行の変動金利 ※2 | 0.475% |
某都市銀行の固定10年金利※2 | 0.87% |
※2022年12月時点での金利情報
- 購入予定の物件が技術基準に適合している証明が必要。
- 適合証明を行う主体者:
適合証明検査機関(※3)または適合証明技術者(※4) - 手数料:
審査・適合証明取得に関わる費用は審査申込者が負担(※5)
尚、一定の要件を満たす住宅の場合、適合証明(物件検査)の手続きを省略できます。(※6)
以下の中古住宅については、それぞれ対応する「【フラット35】中古住宅に関する確認書」を取扱金融機関に提出することで、物件検査を省略できます。
- 築年数が20年以内の中古住宅で、新築時に長期優良住宅の認定を受けている住宅
- 安心R住宅である中古住宅で、新築時に「フラット35」を利用している住宅※7
- 築年数が10年以内の中古住宅で、新築時に「フラット35」を利用している住宅※7
- 団体登録住宅※8である中古住宅で、当該団体があらかじめ「フラット35」の基準に適合することを確認した住宅
※7 新築時の「フラット35」の融資が【「フラット35」(保証型)】であった場合、この確認書を利用して借入申込みができる金融機関は、売主が新築時に「フラット35」(保証型)を利用した金融機関に限られます。
※8 団体登録住宅とは、機構と協定を締結した団体が運営する中古住宅の登録制度の対象となる住宅です。
※1 フラット35(融資率90%以下で最も多い金利)
※2 三菱UFJ銀行の金利はスマート手続きでの金利であり、対面等の場合では+0.15%となります。
※3 適合証明検査機関とは、住宅金融支援機構と協定を締結している指定確認検査機関または登録住宅性能評価機関です。
※4 適合証明技術者とは、住宅金融支援機構と協定を締結している(社)日本建築士事務所協会連合会および(公社)日本建築士連合会に登録した建築士です。
※5 手数料は、適合証明検査機関または適合証明技術者によって異なります。
※6 「フラット35」
「フラット35」の審査は他の住宅ローンより緩い
ここからは審査の際にチェックされるポイントを見ていきましょう。
- 年齢
- 総返済負担率
- 資金用途
- 借入額
- 借入期間
- 団体信用生命保険
※1
審査ポイント①:年齢
審査では申込時の年齢が満70歳未満かどうかがチェックされます。
※親子リレー返済利用の場合は、満70歳以上も申込可能
審査ポイント②:総返済負担率
すべての借入れ(※7)に関して、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が基準を満たすかどうかが審査されます。
※8 収入を合算できる場合があります。
総返済負担率の基準
年収 | 総返済負担率の基準 |
---|---|
400万円未満の場合 | 30%以下 |
400万円以上の場合 | 35%以下 |
金融機関によっては、年収の下限が400万円程度という条件があったり、雇用形態や現職の最低勤続年数についても条件がある場合もあります。
「フラット35」は年収400万円をボーダーに、総返済負担率の審査基準が変わるものの、申込時の審査で年収の下限、最低勤続年数などがないため、審査が比較的緩いと言えるでしょう。
「フラット35」の審査金利は、通常貸出金利よりも高めに設定されています。
理由は、ローン破綻が生じる可能性を下げるために、金利上昇局面も見据えたより厳しい基準を設けているためです。
変動金利の場合、将来の金利上昇を見据え、審査の際に、審査金利を適用する金融機関も一定数あります。(※2)
これは、今後金利がかなり上昇しても返済困難にならないように、審査については、あえて高い金利(=審査金利)を適用している背景があります。
「フラット35」の場合、借入を行うタイミングの通常の金利で審査されるため、他金融機関の住宅ローンの審査金利より低い場合は、借入額が増える可能性があります。
「ローンの割合を増やしたい」、「資金不足で希望物件が購入できない」といった方に「フラット35」はメリットがあると言えます。
審査ポイント③:資金用途
申込本人またはその親族の方が住む新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金かどうかがチェックされます。
審査ポイント④:借入額
借入額が100万円以上8,000万円以下で、建設費(※3) または購入価額(非住宅部分に係るものを除く(※4)。)以内かどうかも審査されます。
審査ポイント⑤:借入期間
借入期間は、15年以上で、かつ、次のいずれかで短い方の年数(1年単位)が上限となります。
- 「80歳」-「申込時の年齢※5※6(1年未満切上げ)」
- 35年
※申込み本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年が上限となります。
審査ポイント⑥:団体信用生命保険
団体信用生命保険に加入することにより、万一のことがあった場合は、住宅金融支援機構に支払われる保険金が債務に充当されるため、以後の「フラット35」の返済が不要となります。
健康上の理由その他の事情で団信に加入されない場合も、「フラット35」は利用できます。
民間の住宅ローンは基本的に団信の加入が必須です。
団信に落ちてしまうと住宅ローンを借りることが絶対できないルールになっているのが基本です。
※1『【フラット35】ご利用条件』ページ
※2 「フラット35」のほか、「フラット35」以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含みます。)などをいいます(収入合算者の分を含みます。)。
※3 住宅金融支援機構「2021年度民間住宅ローンの貸出動向調査」 p26「1-5-3 住宅ローンの審査/審査の所要期間・審査事務関連」より 「審査事務に関する事項」において、271の金融機関の内、37.6%が「審査金利により審査」という調査結果もあります。
※4 土地取得費に対する借入れを希望する場合は、その費用を含みます。
※5 店舗、事務所などの非住宅部分に係る建設費または購入価額は借入対象外となります。
※6 年収の50%を超えて合算した収入合算者がいる場合には、申込みご本人と収入合算者のうち、高い方の年齢を基準とします。
※7 親子リレー返済をご利用の場合は、収入合算者となるか否かにかかわらず、後継者の年齢を基準とします。
※8 収入の合算
「フラット35」のメリット・デメリット
「フラット35」のメリット・デメリットは以下の通りです。
「フラット35」のメリット
- 審査が相対的に緩く、一部加入条件が緩和されていること
- ローン金利の上昇リスクがないこと
メリットについてはここまで紹介した通り、下記のような方にも住宅ローンを利用するチャンスがある点です。
- 年収が比較的低い人
- 勤続年数が短い人
- 持病があって団信加入に不安がある人
また、将来の金利上昇による支払い負担増が不安な人にとっては、金利上昇の心配がないこともメリットといえるでしょう。
「フラット35」のデメリット
- 金利の条件を選べず、また変動金利や期間が短い固定金利の商品よりも金利が高いこと
- 団信に自分で加入しなければならないこと
- 住宅について独自の技術審査が必要であること
デメリットについては具体的例を挙げると、下記内容となります。
- リスクを取って当面の金利負担を抑えたい人が、金利の低い変動金利を選択できない
- 団信加入を考えている人は、自分で別途保険会社と連絡を取って加入手続きを進めなければいけない
- ローン適用の住宅について、独自の検査をクリアしなければならず、その審査にかかる費用も負担しなければいけない
民間の金融機関の場合、団信は住宅ローンとセットで手続きを進めてくれるため、自身で「フラット35」以外で加入手続きを行う場合、手間に感じる人もいるでしょう。
「フラット35」はどんな人が利用している?
住宅金融支援機構が公表している2020年度の「フラット35」の利用者調査※14に基づくと、次のような利用者の傾向があります。
住宅の形態(2020年度)
※独立行政法人 住宅金融支援機構 国際・調査部「2020年度 フラット35利用調査」p.2より引用※1
住宅の傾向として、戸建てとマンションの比率は8:2と、戸建ての割合が多くなっています。
また、2010年度との比較では、建売住宅が17.6%から25.1%と伸長しています。
加入時の年齢(2020年度)
※独立行政法人 住宅金融支援機構 国際・調査部「2020年度 フラット35利用調査」p.3より引用※2
加入時の年代 | 割合 |
---|---|
30歳未満 | 15.3% |
30代 | 39.8% |
40代 | 25.4% |
50代 | 12.1% |
60歳以上 | 7.4% |
加入時の年齢は、30代までの人で約55%と、半数以上が30代という結果が出ています。
また、50代以上の利用割合も増加傾向です。
加入時の世帯年収
※独立行政法人 住宅金融支援機構 国際・調査部「2020年度 フラット35利用調査」p.7より引用※3
加入時の世帯年収帯 | 割合 |
---|---|
400万円未満 | 22.1% |
400-600万円 | 40.5% |
600-800万円 | 20.5% |
800-1,000万円 | 8.9% |
1,000-1,200万円 | 3.8% |
1,200万円以上 | 4.3% |
加入時の世帯年収は、年収800万円までの層が80%以上を占めます。
ただし、400万円未満の利用者も20%強います。
「フラット35」の事前審査と本審査、申し込みからの期間はどのくらい?
審査には事前審査と本審査があります。
金融機関内での審査にかかる期間にはばらつきがあるので、審査工程全体で4週間くらいで考えると安心でしょう。
また、必要書類も多いので、書類不備で審査が滞ることのないよう、前もって書類の準備を進めておきましょう。
まずは返済シミュレーションで確認してみよう
返済シュミレーションは、以下の「フラット35」Webサイトにて簡単に確認が可能です。
総返済額が年収の35%(年収400万円未満の場合は30%)を上回るなど、加入条件に満たない場合には、ポップアップが表示されてシミュレーションが計算されません。
また、住み替えの場合には今住んでいる物件の売却価格も重要です。
不動産仲介会社などを通じて今住んでいる住宅の売却価格を見積もっておきましょう。
尚、住み替えを検討中であれば、マンションレビューのプロデュースした売却サービス【タカウル】なら、複数の不動産仲介会社に物件の売却活動を依頼できるので高値成約に繋がりやすくなっています。
「フラット35」の審査 事前審査から本審査までの流れ
- 事前審査:数日~1週間程度
- 本審査:1週間~3週間(この間に物件の適合証明書を取得)
審査期間は申し込みのタイミングや、連休の有無、金融機関・住宅金融支援機構へ寄せられる審査の数によって変わってきます。
最短で2週間程度としている金融機関もみられますが、念のため4週間程度をみて事前に準備を進めておくと安全です。
-
STEP①金融機関での事前審査
借入条件に相当する返済能力があるか、滞納や多重借入など審査に抵触しそうな要件がないか確認します。
西村物件購入先の不動産仲介会社や住宅メーカーなどが手続きをサポートしてくれる場合もありますよ!ここまでが事前審査で、おおそよの期間として数日から1週間程度です。
-
STEP②本審査前に必要になる書類
住宅が「フラット35」の審査基準に適合する住宅であることを証明する「適合証明書」を取得して住宅金融支援機構に提出する必要があります。
西村住宅金融支援機構が定める適合証明機関へ検査を依頼しますよ! -
STEP③住宅金融支援機構による本審査
「フラット35」の場合は融資元である住宅金融支援機構に対して審査を依頼することになります。
西村こちらも自分で申し込むことも可能ですが、不動産仲介会社や住宅メーカーなどがサポートしてくれるケースも多いです。 -
STEP④審査通過
以上の手続きが完了して審査に通過すれば、晴れて「フラット35」が利用可能です。
西村ここで審査終了となり、おおよその期間として本審査は1週間〜3週間程度です。 -
STEP⑤各種事務手続き
- 借入契約の締結
- 資金の受取
- 抵当権設定手続
- 住宅火災保険へ加入
-
STEP⑥Finished
「フラット35」の審査の必要書類
「フラット35」に限らず、住宅ローンの申込・契約に当たってはさまざまな書類が必要になります。
金融機関から提供される書類もあれば、自身で関係官庁に出向き用意する書類もあります。
【金融機関が用意して、申込者が記入する書類】
金融機関が用意する書類名 | 記入者 |
---|---|
ローン借入申込書 | 申込本人 |
個人情報の取扱に関する同意書 | 申込本人が記入、また連帯保証人がいる場合は連帯保証人も記入 |
団体信用生命保険申込書兼告知書 | 申込本人 |
損害保険に関する同意書(任意) | 申込本人 |
例:借入申込書※1
【申込者自身が用意する書類】
申込者が用意する書類名 | 概要 | 入手先 |
---|---|---|
源泉徴収票(コピー) | 申込時の前年度分。 収入を合算する連帯保証人がいる場合には保証人分も必要 |
勤務先 |
住民税決定通知書(または課税証明書) | 会社等に勤務している場合は毎年5~6月ごろに勤務先から入手。 フリーランスや個人事業主の場合、「税額決定兼納税通知書」という名称で郵送される。 確定申告をしている場合は確定申告書の写し及び納税証明書でOK |
市区町村役場 (納税証明書は税務署) |
住民票 | 発行後3ヶ月以内のもの。 家族全員の記載のあるもの |
市区町村役場 |
印鑑証明書 | 発行後3ヶ月以内のもの。 申込時と抵当権設定時に各1通必要 |
市区町村役場 |
身分証明書 | 運転免許証、健康保険証、パスポートなど | − |
例:源泉徴収票(見本)
【担保関係書類】※マンション購入の場合必要
書類名 | 入手先 |
---|---|
不動産売買契約書(コピー) | 不動産会社 |
重要事項説明書(コピー) | 不動産会社・建築会社 |
不動産登記事項証明書(コピー) | 法務局 (不動産会社が用意する場合が多い) |
建物図面 | 不動産会社 |
建物の間取図 | 不動産会社 |
例:不動産売買契約書
※1 「フラット35」借入申込書参考様式
※2 必要な書類は取扱金融機関によって異なり、また上記以外の書類も必要になる場合もありますので、必ず事前に取扱金融機関へご確認ください。
※3 『失敗しない 住宅ローン書類の見方と可否判断』上田不二雄 (2014) p172
※4『2015−2016年度版 住宅ローン相談ハンドブック』山下和之(2015)P103
「フラット35」の審査に落ちてしまう人の特徴と落ちた理由5選
ほとんどの人は通過しますので、あまり気負わず審査に臨みましょう。
一方で、それでも審査が落ちてしまう人の特徴や理由を解説します。
- 理由① 借入時年齢・完済時年齢
- 理由② 健康状態
- 理由③ 担保評価
- 理由④ 年収(返済負担率)
- 理由⑤ 税金の延滞やカードローンといった個人信用情報
理由① 借入時年齢・完済時年齢
「フラット35」は借入時の年齢が70歳未満で、かつ80歳までに完済できるように組まなければなりません。
年齢が高すぎれば審査は通過できませんし、80歳までに完済できる計画が立てられない、もしくは80歳までに完済するために年間の支払い負担(返済負担率)が高くなりすぎる場合にも審査には落ちてしまいます。
理由② 健康状態
「フラット35」は団信加入が任意なので、団信加入をせずに審査を進める場合には、健康状態は原則審査に影響しません。
ただし、金融機関によっては独自に団信とセットでローンを提供しているケースもあり、この場合は健康診断の状態がわるかったり、告知書内に持病の記載があった場合には団信の審査に落ちるリスクがあります。
遺された家族が支払い負担に困窮するリスクがあることは忘れてはならず、完済に疑念が残るほど健康状態が悪いにもかかわらずローンに申し込むのはおすすめできません。
理由③ 担保評価
住宅ローンは購入する物件を担保に入れることで、比較的低金利で多額のローン借入を可能にできる仕組みです。
消費者金融の金利が10%を優に超えるケースも珍しくない中、1〜2%程度で数千万円の資金を個人が借り入れられるのはこの仕組みがあるからです。
そのため、購入予定の物件が、住宅ローンの借入額に対して充分な担保価値を有していることが審査通過の条件になります。
また、以下のような要因で担保価値が低い場合も、審査通過が難しくなります。
- 利便性に難がある
- 土地の形が特殊
- 接している道が細い
- (中古の場合)物件の築年数が古い
理由④ 年収(返済負担率)
「フラット35」は年収の下限自体は定められていませんが、返済負担率の制約があります。
年収400万円未満なら年間返済額は年収の30%以下、年収400万円以上なら35%以下となります。
例えば年収550万円、他の借入無し、元利均等で金利1.490%の想定で、「フラット35」の「年収から借入可能額を計算※1」シミュレーションで試算すると、借入額の上限は5,247万円となります。
理由⑤ 税金の延滞やカードローンといった個人信用情報
税金やクレジットカード、カードローンなどの債務の延滞があると、信用情報が傷つき、新たにローンを借りるのが難しくなります。
信用状況に不安がある方は、以下のWebサイトから確認することもできるので、事前に調べてみるとよいでしょう。
基本的に長期の滞納があると5年間はこれらの機関に記録が残る(※2)ため、新規のローン契約はしづらくなります。
※1 「フラット35」年収から借入可能額を計算
※2「JICCに登録されている信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか?」において、「契約継続中及び契約終了後5年以内です。」という記載があります。また、「CICが保有する信用情報」において、「クレジット情報」の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年以内」という記載もあります。
【番外編】審査に通過した!けど、ここが不安だった・・
結果的にはローンに通ったけど「この点が不安だった」という意見もよく耳にします。
これらの特徴は民間の金融機関のローンにおいては審査に不利に働く可能性があることから、不安に感じる人もいるようですが、「フラット35」では障害になりません。
以下のような点を不安に感じている方がいますが、「フラット35」では、返済負担率を満たす収入があるか否かがポイントです!
- 自営業である
- 勤続年数が短い
- 女性である
自営業である
民間金融機関の住宅ローンの場合、社会的信用があると言われる会社員や公務員が審査上優遇される(※1)場合もあります。
理由は、住宅ローン審査で最も重要な基準である「収入」について、継続的な給与を受け取ることができる可能性が高いためです。
逆に自営業は同程度の年収のサラリーマン会社員・公務員と比較すると不利に働くリスクがあるのですが、「フラット35」の審査では基本的に関係なく、返済負担率が基準を超えない高借入額であれば大丈夫です
勤続年数が短い
勤続年数も同様で、他金融機関の住宅ローンでは6ヶ月以上(※2)や、2年以上(※3)など、申込時に勤続年数が申し込みの前提条件になるものもあります。
審査基準への明記有無にかかわらず、できれば勤続3年、上場企業など大手でも1年程度の勤続年数が必須となる場合もあります。
一方で「フラット35」では、同じく返済負担率を満たす収入が証明できれば問題ありません。
女性である
「女性だから」という点は現代では住宅ローンでも問題にはなりにくい観点であり、あくまで性差に関係なく収入や就業形態などで判断されるものになります。
性別によって男性より不利になることは基本的に考えられません。
ただし、女性という観点では、独身、結婚、妊娠と生活環境が大きく変わることもあり、その時々で、年収が減少する(※4)こともあるかもしれませんが、「フラット35」では「全期間固定金利」という安心感があります。
この点、「フラット35」では、全期間固定金利なので、予め、年収減少の可能性も考慮して、ローンを組むことが出来ます。
また、女性という観点では、「妊娠」、「出産」のタイミングでローン審査を迎える場合は、それを見越した審査になる場合もありますので、注意が必要になるでしょう。
※1 国家公務員であれば、「一般職の職員の給与に関する法律」に基づいて定められており、また地方公務員も「地方公務員法 第三章」に基づき、公に法律によって給与が定められているため。会社員の場合も、定期的・継続的な給与と、一般的には賞与などもあることがあげられる。
※2 イオン銀行「よくあるご質問」
※3 新生銀行「パワースマート住宅ローン」商品説明
※4この点、「男女共同参画白書」H25 第2章 第17図 が示す通り、「労働者の1時間当たり平均所定内給与格差の推移」でH24年時点で男性一般労働者を100としたときに、男性短時間労働者の給与水準は「55.2」、女性短時間労働者のそれは「50.5」となっています。育児などのために「女性だけ」が短時間労働になる蓋然性は減ってはいますが、男性でも女性でもライフプランをしっかりと考慮した上でローン審査に臨むことが必要になるでしょう
「フラット35」に落ちてしまったら再審査を視野に入れよう
「フラット35」の審査に落ちてしまったからといって、あきらめるのは早計です。
少し期間をあけて申し込むか、購入する物件を再考してみるのがよいでしょう。
①年収負担率が高い場合
貯蓄を進めて自己資金を増やしてローン借入額を減らしてから再チャレンジするとよいでしょう。
②個人の信用に問題がある場合
一定期間が経過すれば記録が消え、審査に通るようになるはずです。
最低でも半年程度期間をあけてから、再度審査にチャレンジするとよいでしょう。
③担保価値が低いことが原因の場合
購入希望の物件を再考してみましょう。
物件価格の安い物件、同程度でも立地などがよく担保価値が高い物件を探してみるのがおすすめです。
「フラット35」に関するよくある質問
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A.住宅支援機構と民間金融機関が提携して行う住宅ローンです。
A.10%未満です。9割以上の方が通過します。
A.最長35年まで、全期間にわたり固定金利が適用されるのが特徴です。
A.主に次の点が異なります。
- 他のローンは変動金利や固定期間が短い固定金利のプランがある。
- 他のローンは団信加入が審査通過の要件になる。
- 他のローンより審査が緩い傾向にある。
A.次のような人に向いています。
- 将来のローン金利上昇を避けたい人。
- 持病などにより団信通過が難しい人。
- 勤続年数が短い、低所得、非正規・自営業などほかの金融機関のローン審査が通りにくい条件がある人。
次のような点が審査に影響する可能性があり、注意しましょう。
- 税金や債務の滞納により個人の信用に問題がある
- 物件の担保価値が低すぎる
- 現時点の年齢もしくは完済時の年齢が高くすぎる
A.最長でも5年経過すれば信用機関の記録がなくなる(※)ため、影響はなくなると言われています。
それより早いタイミングで審査を通過するようになるかは金融機関と住宅金融支援機構の判断になりますが、一般的に滞納した時点から、時間が経てば経つほど審査に通るチャンスは高くなります。
※ 「JICCに登録されている信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか?」において、「契約継続中及び契約終了後5年以内です。」という記載があります。また、「CICが保有する信用情報」において、「クレジット情報」の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年以内」という記載もあります。
まとめ
審査落ちする人は少ないものの、個人の信用に問題がある人、物件の担保価値が低すぎる、完済年齢が高すぎる人などは落ちる可能性もあります。
もし審査に落ちてしまった場合は、一定期間をあけてから再チャレンジしてみましょう。また、物件の担保価値が低すぎる場合は、購入物件を再考するのもおすすめです。
今回の記事を参考に、金利が長期にわたり変わらず、審査が緩やかな「フラット35」に魅力を感じた方は、是非利用を検討してみましょう。
- 全期間にわたり固定金利になる住宅ローン
- 審査が比較的緩い傾向にあり、収入が高くない人や勤続年数が短い人、会社員ではない人に適している
- 団信加入が不要なので健康に不安がある人も利用できるチャンスがある
メリット
- 審査が相対的に緩く、一部加入条件が緩和されている
- ローン金利の上昇リスクがない
デメリット
- 金利の条件を選べず、また変動金利や期間が短い固定金利の商品よりも金利が高い
- 団信に自分で加入しなければならない
- 住宅について独自の技術審査が必要である
- 借入時年齢・完済時年齢
借入時の年齢が70歳未満で、かつ80歳までに完済できるように組まなければいけない。 - 健康状態
「フラット35」は団信加入が任意なので、団信加入をせずに審査を進める場合には、健康状態は原則審査に影響しない。 - 担保評価
購入予定の物件が、住宅ローンの借入額に対して充分な担保価値を有している必要がある。 - 年収(返済負担率)
年収の下限自体は定められていないが、返済負担率の制約がある。
年収400万円未満なら年間返済額は年収の30%以下、年収400万円以上なら35%以下。 - 税金の延滞やカードローンといった個人信用情報
債務の延滞があると、信用情報が傷つき、新たにローンを借りるのが難しくなる。
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