この記事で学べること・ポイント
- 中古マンション購入のお金に関する注意点
- 物件選びのときの注意点
- 契約に関する注意点
-
STEP1資金計画を立てる
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STEP2物件選びと情報収集
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STEP3物件の内覧
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STEP4購入申込
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STEP5住宅ローンの事前審査
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STEP6売買契約
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STEP7住宅ローンの本審査と契約
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STEP8決済・物件引き渡し
マンション購入は人生で何度も経験することではありません。
いざ買いたいと思っても、どんな点に気を付ければいいのか迷うこともるでしょう。
- マンション購入前後で必要となるお金を把握しているか?
- 購入するマンションの相場を把握しているか?
- 築年数や資産価値の重要性は理解しているか?
- 契約前の重要事項説明書の内容や、契約成立のタイミングについて理解しているか?
1.中古マンション購入の資金計画・費用における注意点
マンションの購入予算目安は世帯収入で決める
マンション購入を検討する際、まずは予算を決める必要があります。
予算を決めるにあたって一番重要な要素は「世帯年収」です。
現在の世帯年収でどれくらいの毎月の支出なら支払い可能かを考えましょう。
一般的にマンション購入価格の目安は、「年収の6〜7倍程度」までといわれています。
資金計画で自分がどれくらいまで住宅ローンを利用できるのかを把握することは重要です。
住宅金融支援機構の「2021年度フラット35利用者調査」※1によると、中古マンションを購入する際の所要資金と年収倍率の全国平均は、所要資金は3,026万円、年収倍率は5.8倍でした。
【中古マンションの所要資金と年収倍率】
地域 | 所要資金 | 年収倍率 |
---|---|---|
首都圏 | 3,295万円 | 6.1倍 |
近畿圏 | 2,654万円 | 5.6倍 |
東海圏 | 2,208万円 | 4.9倍 |
その他地域 | 2,601万円 | 4.9倍 |
全国 | 3,026万円 | 5.8倍 |
※1
2013年度調査 ※2まで全国の年収倍率は5倍を下回って推移していましたが、マンション価格の上昇、金利の低下などに伴って倍率は上昇傾向にあります。
収入のうちどの程度まで返済に回せるのかを、結婚、出産、教育、介護などそれぞれのライフプランに合わせてよく検討することが大切です。
マンション購入には物件価格以外にも費用がかかる
マンション購入に際しては、物件の購入金額以外にも、主に次のような諸費用が必要になります。
- 契約書に貼付する印紙代
- 登記費用
- 火災保険、地震保険の料金
- 住宅ローン保証料
- 住宅ローン諸費用
- 不動産取得税
- 引越し費用
- 不動産仲介手数料
- 固定資産税清算金
購入時には不動産売買契約書に貼付する印紙税や、物件の登記費用、火災保険などさまざまな費用がかかります。
中古マンションの場合は、不動産仲介手数料や固定資産税清算金も必要です。こうした諸費用の目安は物件価格の5~8%とされています。
購入費用の中では「頭金」が一番割合が大きい
「購入諸費用」「頭金」「手付金」を混同される方がいますが、それぞれ別の費用です。
「頭金」とは、マンション購入時、住宅ローン借り入れ金額以外に用意する自己資金のことです。
「頭金」の目安は、物件価格の1〜2割がオススメですが、近年では頭金なしの「フルローン」でマンションを購入する人も増えています。
- 物件価格:5,000万円の場合
- 頭金:500万円
- 住宅ローン:4,500万円
「手付金」とは、物件契約時に、売り主へ物件価格の一部を先払いするお金です。
手付金は物件価格の20%が上限ですが、実際の相場は物件価格の5~10%です。
ただし、フルローン(物件価格100%の金額のローン)の場合、住宅ローンが実行された時に手付金の金額分の金額が戻ってきます。
【フルローン(物件価格100%の金額のローン)の具体例】
- 物件価格:5,000万円
- 手付金:500万円
- 住宅ローン:5,000万円
- 契約時:現金で500万円、手付金を支払う
- 残金決済時:住宅ローン5,000万円実行し、4,500万円を支払う
- 現金累計:-500万円 + 500万円 = 0円
昨今続く低金利政策の影響下で、頭金無しでマンションを購入するのも一般化してきています。
住宅ローンの事前審査に通過しておく
また、住宅ローンの事前審査を通過しておくことも重要となります。
住宅ローンの審査には、事前審査と本審査の2段階があります。
事前審査は比較的簡易な審査で、一般的には、売買契約締結前までに通過しておく必要があります。
本審査は契約締結後に行われるより厳しい審査となります。
住宅ローンの事前審査は、購入を決めて買付証明書を提出したあと、速やかに金融機関に申込書を提出し、契約までの間に通過させておくことが一般的です。
住宅ローン事前審査が通っておらず、年収と借入額の返済比率から借入が厳しいと思われる場合は、資金計画が不十分と売主側に判断されてしまいます。
買付証明書を受理してもらえない場合もあるので注意しましょう。
2.中古マンション物件選びの注意点
市場価格と相場を理解しよう
エリアの相場を知るためには、周辺の取引価格を把握することが有効です。
例えば、過去の成約価格は不動産流通機構が公開している不動産取引情報検索サイト「レインズ」※1で調べることができます。
マンションは個別性が高く、同じエリアに立地していたとしても、物件により相場が大きく異なります。
そのため、マンション個別の相場も把握する必要があります。
中古マンション一覧ページから調べたいマンションのページに遷移し、「過去の販売履歴」「適正価格診断」「将来価格予測」を閲覧することで確認できます。
ただし、上記の金額は「売出価格」のため、「売出価格 × 95〜98%の金額」がおおよその成約価格と想定しておきましょう。
- エリア
- 最寄駅からの距離
- 築年数
- 管理状況
- 物件のグレード・ブランド力
- 間取り・専有面積・向き
- 周辺の生活環境
- リノベーション済みかどうか
①エリア
物件価格は立地しているエリアに左右されます。
周辺と比べて人気があったり交通アクセスが良かったりするエリアでは、物件価格が高くなる傾向があります。
基本的には都心部に近い方が価格が高く、郊外に向かうにつれ価格が安くなります。
②最寄駅からの距離
最寄り駅からの距離も価格に大きく影響を与えます。
駅近物件は利便性が高く、物件価格が上がる傾向にあります。
③築年数
新築に近いほど価格は高く、築年数が経過すると価格は下がることが一般的な傾向です。
大規模修繕など適切な維持管理が行われていれば、古くても価値が維持されることもあります。
④管理状況
同じ築年数でも管理の良し悪しで価格は変わってきます。
適切な修繕がされ、掃除も行き届いたマンションと、修繕がされず、外壁タイルが剥がれ、散乱したゴミ置き場のマンションでは大きく資産価値が異なります。
⑤物件のグレード・ブランド力
駅のランドマークとなっている駅直結のタワーマンションなどは、周辺のマンションよりも一段高い相場で取引されたりします。
傾向としては、「大手ディベロッパー分譲」「総戸数が多い」「階建が高い」物件は相場が高くなる傾向にあります。
⑥間取り・専有面積・向き・眺望
当然、面積が広い物件の方が価格が高くなります。
一般的に部屋数が多いほど、広い面積が必要になりますが、いびつな形の間取り、タワーマンション以外の北向き住戸、低層階で窓の前方の眺望が抜けていない部屋等は価格が低くなりがちとなります。
⑦周辺の生活環境
スーパーなどの商業施設や、公園などの公共施設が充実している地域は、価格が高くなることが多いです。
⑧リノベーション済みかどうか
リノベーションは「価値を上げる内装工事」を指します。
「修繕」の要素が強いリフォームよりも大規模な工事となります。
設備が新しいことはもちろん、デザイン性に優れ、生活動線も最適化するため、新築に近い快適な生活が期待できるため、価格が高くなる傾向があります。
築年数の経過とともに資産価値は下がっていく
中古マンションと築年数の関係は非常に重要です。
築年数の経過とともに、中古マンションの資産価値は下がっていく傾向があります。
しかし、築年数が古いから住めなくなるわけではなく、築年数に見合ったメンテンスが行われている物件に関しては、資産価値を維持できている物件も多くあります。
東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」※2では、物件価格は築10年の物件は新築の85%ほど、築20年で70%、築30年超で40%ほどの価格で取引されているとの結果が出ていました。
※2
東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」※3によると、中古マンションの平均築年数は23.33年です。
しかし、鉄筋コンクリート部材の効用が持続する年数としては120年、外装仕上げで延命すれば150年は耐えうるという意見もあります。
所得税や法人税を計算する際の減価償却費の算出に使い、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の建物は47年と決まっています。
47年を過ぎたからといって住めなくなるわけではありません。
そのため、中古マンション購入の際には、築年数に見合った適切なメンテナンスが施されているか確認することが重要です。
築年数が経過している物件は耐震基準についても注意してください。
建物は1981年6月以降に建築確認を得たかどうかで、新耐震基準と旧耐震基準に区別されます。
新耐震基準は、震度6強~7レベルの地震でも倒壊しない基準に達しています。
旧耐震基準のマンションでは耐震補強工事を施すことが望まれますが、所有者の合意形成、総会での承認などの手続きが必要な上、高額な費用も必要なため、旧耐震でも実施されていない物件も多くあります。
資産価値の重要性
資産価値とは、「マンションの価値(価格)」「マンションの価値(価格)の維持のされやすさ」を指します。
一般的に建物は年月の経過とともに老朽化して価値(価格)が低下しますが、マンションによっては低下しにくい、あるいは価値(価格)が上昇するものもあります。
昨今、「不動産購入=終の棲家選び」ではなく、「ライフスタイルに合わせて住み替えをする」ことを想定して、「いつか売却する際に損をしない資産価値の高い物件、資産価値が維持されるであろう物件」を選ぶ、という意識を持つ方が増えています。
立地・設備・建物
まず注目するべきは立地です。同じ自治体内でも、人気のあるエリアに立地しているマンションは需要が高いため価値が下がりにくいです。
人気のエリアは、利便性が高いエリアという場合が最も多いです。
一般的に、駅から徒歩5分以内の物件や、学校・病院・スーパー・公園などの生活関連施設が集積している立地にある物件は資産価値が高くなります。
内装の設備も資産価値を左右しますが、内装はリフォーム、リノベーションをすることで刷新できるため、立地や日当たり、眺望に比べると、重要度はやや下がります。
一方、物件のグレード、規模(総戸数・階建て)共用部の設備は内装以上に重要となります。共用部は変更をすることができないため、グレードが高く、大規模物件を選ぶことが資産価値が高い物件を選ぶ際は肝要となります。
建物の修繕状況
建物は徐々に劣化します。資産価値が高い状態を保つには、外壁や屋根、設備などの適切なメンテナンスが必要となります。
中古マンションの場合は、同じ築年数であっても修繕状況の良し悪しが資産価値に直結します。
中古マンションを選ぶ際に気を付けるべき修繕状況の主なチェックポイントは以下のとおりです。
修繕状況の主なチェックポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
共用部分 | ・エントランスや郵便受け、廊下、階段などにゴミや落書きはないか ・掲示板が乱れていないか ・階段、柵にさびや痛みはないか |
修繕計画 | 外壁や給排水設備、エレベーターなどの修繕計画は妥当か |
修繕履歴 | ・計画に沿った補修や設備更新が行われているか ・外観に劣化が目立たないか |
管理費・修繕積立金 | ・管理費や修繕積立金が適正に設定されているか ・滞納者はいないか |
管理組合 | ・理事会や総会は定期的に開かれているか ・議事録は確認できるか |
管理規約 | ペットやバルコニーの扱いなど規約内容は適切か |
セキュリティ設備 | ・オートロックや防犯カメラなどの防犯対策が整っているか ・管理人は常駐か |
資産価値を維持・向上させるには、大規模修繕が適切に実施されているかどうかが重要です。
マンションの修繕周期の例(抜粋)
主な修繕項目 | 周期例(年) |
---|---|
屋根防水の補修 | 12~15 |
外壁の塗装塗りかえ | 12~15 |
貯水槽の補修 | 12~16 |
貯水槽の取り換え | 26~30 |
給水ポンプの補修 | 5~8 |
給水ポンプの取り換え | 14~18 |
空調・換気設備の取り換え | 13~17 |
エレベーターの補修 | 12~15 |
エレベーターの取り換え | 26~30 |
※1
定期的に大規模修繕を行ったり、主要設備を取り換えるには多額の費用がかかります。
購入を検討しているマンションの管理組合が修繕計画や修繕積み立てを予定通り実施できているかや、修繕積立金の残額をチェックしましょう。
古くなったマンションは賃貸に出しても入居希望者が減ったり、相続で空き家になったりすることで修繕積立金を十分に集められていないケースも考えられます。
修繕積立金が不足している場合、不足分を一時金として徴収せざるを得ません。
入居者の家計に打撃となるため反対する人が相次ぐことも予想され、修繕の実施に支障が出る恐れもあるでしょう。
こうした事態を避けるためにも、適切な修繕計画があるマンションや、相対的に修繕積立金が不足しづらい、総戸数が多い大規模物件を選ぶことなども視野に入れましょう。
共用施設・管理状況
資産価値を判断するには、駐車場やゴミ置き場など共用施設と管理状況のチェックも大切です。
駐車場は、十分な台数が確保されているかよりも、空きがなく満室に近い稼働が実現できているかの方が重要です。
駐車場の利用料金を、修繕積立金として積み立てているマンションも多いため、駐車場に空きがあると将来的な修繕積立金の不足が懸念されます。
また、都心部では敷地が確保できないため、機械式駐車場を設置するケースがあります。
機械式は出入庫に時間がかかるほか、定期点検と修繕費用が必要な点がデメリットです。
修繕費用が高くなる傾向もあるため、平置き駐車場のマンションに比べ、将来的な支出が増えて、資産価値に影響が出る可能性もあります。
24時間いつでもゴミを捨てられるゴミ置き場を設置するマンションが増えています。
決まった曜日と時間帯にしかゴミを出せないケースより利便性が高くなるため、資産性は上がります。
また、ゴミ置き場が清潔に掃除されているかもマンションの管理状況を確認する指標となります。
住人のマナーはマンションの資産価値にも影響します。
騒音やペット飼育に関するトラブル、ゴミ捨て時間を守らないといったマナー違反が目立つマンションは、購入を敬遠され、結果として売れ残る可能性が高まるからです。
また、高齢者が多い物件も「建て替えの際の仮住まいをしたくない」「このまま一生この建物に住み続けたい」という考えの方が多い傾向があり、建て替えが困難になる要因につながりやすいため、物件の資産価値に影響を及ぼすこともあります。
治安が悪い地域では犯罪に巻き込まれる可能性も高くなり、当然買い手が見つかりにくくなります。
治安状況は警察や市町村が公表している犯罪情報などで確認できます。
マンションレビューでは、中古マンションの資産価値を数値化した「マンション偏差値」という指標を公開しています。
築年数や駅からの距離等、客観的な物件概要データに基づいて、独自のアルゴリズムにより算出しています。
エリア別のマンション偏差値ランキングも公開しておりますので、資産価値の高い物件を探すのに便利です。
内覧でリフォーム・修繕の必要性を見極める
具体的には、床や壁、天井の傷みや汚れ、キッチンやトイレといった水回りの劣化状況などを確認することで、リフォームや修繕が必要かどうかを見極めます。
ドアや窓の開閉はスムーズか、日当たりや臭いなどにも注意してください。
エアコンや給湯器などの設備もチェックし、必要に応じて交換や修理の見積もりを取ることも検討します。
現在の住まいで使っている家電や家具を引き続き使用する場合は、あらかじめサイズを測っておいて配置できるか確認することも忘れないようにしましょう。
入居している人がいる場合は、許可なく収納の扉を開けないなど一定の配慮が必要です。
ただ、過度に気を使っていてはチェックするべき傷や汚れを見落とすことになりかねません。
専有部分チェックリスト
チェック項目 | チェックする主な内容 |
---|---|
図面と現況 | ・間取りやコンセントの位置などの確認 ・図面と現況で相違ないか |
間取り変更 | 間取りの変更が可能な構造か |
エアコン | ・エアコンが設置されているか ・使用は可能か |
共用部分チェックリスト
チェック項目 | チェックする主な内容 |
---|---|
外壁 | ひび割れやはく離など劣化が目立つ部分はないか |
1階の店舗 | 1階に店舗がある場合の営業時間など |
バルコニー | ・手すりはサビていないか ・排水がしっかりされているか |
管理人 | ・管理人室の場所はどこか ・管理形態は日勤か巡回か |
掲示板 | ・掲示物の更新状況 ・管理は行き届いているか |
エレベーター | 住戸数に対する数やサイズは適切か |
メールボックス | 整理・清掃されているか |
集会場 | ・集会場があるか ・清掃されているか |
駐車場・駐輪場 | 住戸数に対する駐車・駐輪可能台数は適切か |
共用部分 | 使用方法は適切に決められているか |
隣地の敷地 | 隣地で眺望などに影響する建物の計画がないか |
中古物件の一番のポイントは共用部分の適切なメンテナンスがされているかです。
内覧の際には専有部分だけでなく、廊下や外壁などの共用部分もしっかりチェックすることが重要です。
もし、内覧時点で不具合に気付かずに引き渡しを受けた場合、売買の目的物が契約に適合しないものであれば、買主が売主に補修などを求めることができる権利が民法第562条※1に明記されています。
しかし、引き渡し後に見つけた細かな傷や汚れは対応してもらえないことが一般的です。
民法第562条2項でも「不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、履行の追完の請求をすることができない」と記載されています。
中古物件の内覧時間の目安は長くても30分程度とされていますがそれ以上に物件を見たい場合は「購入を検討しているので、ゆっくり時間をかけて確認したい」と伝えれば問題ありません。
「時間の上限」に惑わされず、チェック項目をすべて確認することが後悔しないマンション選びの秘訣です。
「資産価値の重要性」の項目で指摘した管理状況のチェックポイントにも気を配るようにしてください。
災害リスクを十分に調べよう
災害リスクを十分に考慮した上で中古マンションを選ぶことも重要です。
マンションを購入する際に災害リスクを確認しないままでは、万一の際に大きな損害を被ることになりかねません。
災害リスクが大きい立地にあるマンションは、当然資産価値は低くなってしまいます。
物件が立地するエリアの地震や水害に関する危険度は通常、各自治体のホームページなどで「ハザードマップ」として公表されています。
国土交通省のハザードマップポータルサイト※1では、洪水や土砂災害、高潮、津波のリスク情報などを地図に重ねて表示可能です。
※1
マンションは鉄筋コンクリート造のものがほとんどのため、水害リスクがあるエリアに立地しているだけで、危険という訳ではありませんが、万が一水害が起きた時は、資産価値が落ちる可能性も0ではないということも頭に入れておきましょう。
また、地震に対するマンションの耐震性のチェックも必要です。
1981年6月より前の旧耐震基準で建てられた物件は、震度6強以上の地震が発生した場合に持ちこたえられない恐れもあります。
3.中古マンション契約の注意点
物件選びが終わって購入する意思を示す申込書を提出して、売主、買主が契約条件に合意すると、契約手続きに移ります。
購入物件の概要や売買価格、支払い方法など、契約内容で事前に確認するべきポイントや、契約成立のタイミングについて解説していきます。
事前に契約内容を確認
不動産の取引を行う際、宅地建物取引業者は売買の当事者に「重要事項説明」を行わなければなりません。
重要事項説明は売買の当事者に不利益が生じないようにする仕組みですが、契約書に署名する直前に宅地建物取引士によって説明されるケースが多いです。
契約日程によっては難しい場合もありますが、重要事項説明書と売買契約書は、署名前日までにコピーをもらい、事前に読んでおき、不明点を明確にしておくことが理想的です。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
物件の表示 | マンションの名称、部屋番号、所在地、専有面積、敷地の持分 といった基本情報がパンフレットなどと相違していないか |
権利関係 | 所有権、抵当権の有無など権利関係は適切か |
法令上の制限 | 都市計画法や建築基準法に関する制限の内容に問題はないか |
管理規約・仕様細則・管理 に係る調査報告書 |
・共用部分の規約や専有部分の利用制限などの定めは適切か ・管理費や修繕積立金の支払額や滞納額に問題はないか |
建物に関する書類の 保存状況 |
1981年5月31日以前に新築工事に着手した場合、 新耐震基準に適合していることを示す書類や耐震補強を実施した履歴はあるか |
災害リスク | 土砂災害や津波災害などの警戒区域内かどうか |
売買代金 | 合意した金額と違いはないか |
契約解除 | 物件に契約内容と適合しない部分があった場合の扱いを定めた 「契約不適合責任の適用」など、契約解除の条件は適切か |
損害賠償額や違約金 | 取引相手に損害を与えた場合や契約違反となる場合の扱いは妥当か |
重要事項説明に加え、契約書の確認もしっかり行いましょう。
売買代金の額、支払時期、引き渡しのタイミング、契約に適合しない部分があった場合の詳細なルールなどをまとめています。※1
契約成立のタイミングは契約書に署名した時
売買契約の成立時期について民法※2には「契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する」と書かれています。
売主または買主が物件の内容や代金など契約内容を相手方に申し込み、双方で内容を承諾すれば成立すると考えられ、書面は必ずしも必要ありません。
しかし、マンションなどの不動産の売買は代金が高額です。
書面なしで契約を成立させることは通常は考えられず、業界では双方が契約書に署名して初めて契約が成立するとされているのです。
契約時期次第では、希望している物件を逃してしまうこともあります。良い物件を見つけて購入を申し込むだけでは契約成立とはなりません。
これからマンション購入の契約をする人は、次の点に注意してください。
- 物件の契約相手を決めるのは不動産会社ではなく売主である
- 売主はより条件の良い(希望価格に近い金額を出す)購入検討者と契約したい
- 「一般媒介契約」で複数の不動産会社が間に入っている場合は、他の不動産会社経由で他の購入検討者と契約をされてしまう可能性がある
「一般媒介契約」は、売主が複数の不動産会社に営業活動を依頼できるため、売買契約前だと他の購入検討者に物件を買われてしまう可能性が高くなります。
一方で、1社にしか営業活動を依頼できない「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」は通常その可能性は低くなります。
まとめ
この記事では、中古マンション購入時の注意点を解説してきました。
失敗を防ぐには、資金計画や物件選び、契約時などポイントごとに理解を深めておくことが大切です。
中古マンションには、築年数の経過によって注意するべき点や、修繕工事の実施状況などをチェックして資産価値を見極める重要性など、新築マンションと異なる点が多くあります。
新築に比べて割安な物件を購入できることが中古マンションの大きなメリットです。
自分に合った住まいを見つけ、快適な暮らしを手に入れられるよう、本記事の内容をぜひ参考にしてください。
- マンション購入の予算目安は、「年収の6〜7倍程度」まで。
- マンション購入の予算は、「住宅ローン借り入れ額 + 自己資金額 ー 諸費用額」で計算できる。
- 中古マンションの場合、諸費用額は「物件価格の5~8%」かかる
- 住宅ローンの事前審査を通過しておく。
- 周辺の取引価格相場を把握しておく。マンション個別の相場は「マンションレビュー」で把握できる。
- マンション価格に影響を与えるポイントは以下の通り。
①エリア
②最寄駅からの距離
③築年数
④管理状況
⑤物件のグレード・ブランド力
⑥間取り・専有面積・向き
⑦周辺の生活環境
⑧リノベーション済みかどうか - 将来の売却時を考えると、物件の「資産価値」も重要。立地や修繕管理の良い物件は資産価値が下がりにくい。
- 内覧では、水回りの劣化状況、共用部分の状況などを確認することで、リフォームや修繕が必要かどうかを見極められる。
- 契約時には、「重要事項説明書」の内容を把握しておく。
- 不動産の売買を「合意した」と判断されるのは契約締結時だが、契約書に署名して初めて契約が成立する。タイミングを逃すと他の人に物件を買われてしまうケースもあるので注意。
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