この記事では以下のポイントを中心に、マンションの防音対策について解説します。
この記事で学べること・ポイント
- マンションで起きる騒音問題の原因と影響
- 防音の手法と、防音性能の指標
- 防音性の高いマンションの選び方
- 手軽にできる防音対策
- 防音工事の方法や注意点

マンションで快適に暮らすために大切なのが、防音対策です。
集合住宅であるマンションでは、しばしば「音」による問題が発生します。
中には、物件自体の防音性が低く、生活する人がどれだけ気を付けても音が伝わってしまう場合もあります。
- 騒音には「空気伝播音」と「固体伝播音」の2種類ある。
- 環境省の調査によると、騒音の原因は「建設作業や工事現場の音」「家庭生活の音」などがある。
- 騒音は、不快感や睡眠妨害など生活の質低下にもつながり、社会問題となっている。
- 防音の手法は、主に「遮音」「吸音」「防振」「制振」がある。
- 防音の評価指標は「D値」「T値」「L値」「ΔL(デルタエル)値」がある。
主に下記5つのポイントを確認。
- 建物構造
鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造が防音性が高い。 - 壁の厚さと構造
壁が厚いほど防音性が高い。界壁や壁の素材、施工方法も確認すると良い。 - 床の厚さと構造
厚いほど防音性が高い。直床か二重床かでも防音性能が異なるので確認。 - 窓・サッシの性能
ガラスの厚さや枚数、サッシの気密性が重要。 - 階数・間取り
階層が高いほど、外部からの音は聞こえにくい。隣住戸との境となる部分に収納スペースなどがあると防音効果が期待できる。
自分でも手軽に防音対策することはできる。
- 床:
厚手の防音マットやカーペットを床に敷くことで、騒音が階下に伝わるのを防げる。 - 窓:
防音カーテンやブラインドを設置することで、外部からの騒音の侵入をある程度軽減できる。 - 壁:
大型家具を隙間を作らず壁際に配置したり、吸音パネル設置することで、音の伝わりを軽減できる。
- 壁・床・窓など、音が伝わりやすい部分だけ工事を施すこともできる。
- 楽器演奏・配信・録音などを行う人は防音室の設置がおすすめ。
- 工事をする前は、必ず管理規約の確認と近隣への連絡を行う。
- 工事を行う前には現在使える補助金があるか要確認。(2026年5月時点:みらいエコ住宅2026事業、自治体による断熱リフォーム支援事業)

マンション騒音問題とは?原因と影響

人が生活する上で、常に音が発生するのは当然のことです。
音の種類や大きさ、建物自体の構造上の条件など、様々な要因が音を伝わりやすくし、結果、騒音問題へと発展してしまうことがあります。
正しい防音対策のため、まずはマンションで問題になりやすい騒音の種類・原因・影響などを知っていきましょう。
- マンションでよくある騒音の種類(空気伝播音・固体伝播音)
空気伝播音は空気を介して伝わる音、固体伝播音は何らかの固体物質を介して伝わる音。 - 騒音が発生する主な原因
「建設作業音」や「工事・事業場音」、「家庭生活音」などが騒音の主な原因。 - 騒音がもたらす生活への影響
不快感や睡眠妨害など、生活に悪影響を及ぼしている。
マンションでよくある騒音の種類(空気伝播音・固体伝播音)
そもそも音というものは、音源の振動が何を介して伝わっていくかによって「空気伝播音」と「固体伝播音」の2種類に大きく分けられます。

- 空気伝播音
空気を介して伝わる音を空気伝播音、もしくは空気音と呼びます。
たとえば話し声や動物の鳴き声、テレビやオーディオの音、楽器の音などです。 - 固体伝播音
何らかの固体物質を介して伝わる音を、固体伝播音もしくは固体音と呼びます。
マンションでは建物の壁や床(天井)を伝わってくる音が固体伝播音です。
足音や家具を引きずる音、何か物を落としたりぶつけたりしたときの衝撃音などがこれにあたります。
それぞれ、音が伝わる仕組みが異なるため、それを防ぐための方法も異なります。
騒音対策を適切に行うには、どのような音が騒音の原因になっているのかを把握する必要があるのです。
騒音が発生する主な原因
環境省の調査によれば、令和6年度中に全国の地方公共団体へ寄せられた苦情の件数は19,886件でした。※1
それらを原因別に分けたものが下記のグラフです。

騒音トラブルになりやすい生活音の例としては、下記のようなものがあります。
- 足音
- 家具を動かす音
- 子どもの声、ペットの鳴き声
- 洗濯機や掃除機など家電製品の音
- テレビの音
- 楽器の音
- 人の話し声、笑い声
なお、音の感じ方は人によって異なるため、自分自身が気にしていなくても、ほかの人にとっては騒音と捉えられることがあります。
そのなかで共通の指標となるのは、環境省が設定している基準値です。
環境省の発表している「騒音に係る環境基準について」という資料では、どんな地域のどの時間帯かに応じて、騒音にあたらない音の範囲が示されています。※2
| 地域 | 昼間の基準値 | 夜間の基準値 |
|---|---|---|
| 特に静穏が求められる地域 (療養施設や社会福祉施設等が集合している、など) |
50デシベル以下 | 40デシベル以下 |
| 住宅街、もしくは住宅が主な地域 | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
| 商業地域、工業地域 | 60デシベル以下 | 50デシベル以下 |
参考として、エアコンの室外機の音や換気扇の音が、おおよそ50デシベル程度です。※3
※1 環境省:騒音規制法等施行状況調査の詳細
※2 環境省:騒音に係る環境基準について
※3 日本騒音調査(ソーチョー):騒音値の基準と目安
騒音がもたらす生活への影響
騒音は、周囲の人の生活の質を下げるとして、しばしば社会問題にもなっています。
下記のようなものは、騒音が生活にもたらす悪影響の例です。
- 不快感
- 睡眠妨害
- 作業能率の低下
- 会話妨害
また、騒音問題は、単なる生活上のトラブルとしてだけでなく、法的にも規制の対象となる場合があります。
各自治体では、生活環境を保全するため、騒音規制法や迷惑防止条例などを定めています。
マンションはどうやって防音する?防音の手法と評価指標

快適な住環境を叶えるため、建築分野ではさまざまな防音対策が研究されています。
どのような防音対策が採用されているのか、そして、どのように評価されているかを知ることは、防音性の高い住まいを選ぶひとつのポイントです。
- 防音のための4つの手法
防音の手法は、「遮音」「吸音」「防振」「制振」の4つに分けられる。 - 防音の評価指標(D値・T値・L値)
主に壁や建材の防音性能をあらわす「D値」、主にドアやサッシの防音性能をあらわす「T値」、床の防音性能をあらわす「L値」がある。
防音のための4つの手法
ひと口に「防音」と言っても、その方法は多様です。
音の伝わりをどのように防ぐかにより、防音手法は大きく以下の4つに分けられます。

| 防音の種類 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 遮音 | 音を跳ね返して通さないこと | 壁に施工する遮音材、窓の二重サッシ |
| 吸音 | 音を吸収して、反響を減らすこと | 壁に施工する吸音材 |
| 防振 | 振動を吸収して、音の伝達を抑えること | 二重床、直床 |
| 制振 | 振動そのものを抑制して、音の共振を抑えること | 洗濯機の制振材 |
防振・制振は地震対策というイメージが強いかもしれませんが、防音にも効果的です。
音が伝わるとき、その間にある壁や床の振動で、より大きく聞こえてしまうこともあります。
防振や制振で振動を低下させることで、そのように音が広がっていくのを防止できるのです。
防音の評価指標(D値・T値・L値)
日本工業規格(JIS)では、マンションなどの防音・遮音レベルをはかる指標として「D値」「T値」「L値」が用いられています。

D値
D値は、主に壁や建材の防音性能をあらわす数値です。
Dr値と表記することもあり、英語では「Sound Pressure Level Difference」と表現します。
D値を表すときの表記は「D-65」、「D-30」などです。
この数値は、「どれくらいの音が遮音されたか」を表します。
たとえば壁の内側で発生した音が100dBで、外まで聞こえた音量が35dBだった場合、100-35=65のため「D-65」と表記します。
T値
T値は、ドアや窓を閉めているときに、どれくらいの音を防音できるかを示します。
T値の表記は「T-1」、「T-2」などになり、D値と同じく、数字が大きさがそのまま遮音性能の高さを表しています。
L値
L値は、床の防音性能をあらわす数値です。
L値のLは「Floor Impact Sound Level」の「Level」から取られています。
L値にはLL値とLH値の2種類があり、それぞれ下記への遮音等級を表します。
- LL値:Light weight=軽量床衝撃音
- LH値:Heavy weight=重量床衝撃音
L値は、「LL-50」、「LH-45」というように表記します。
これは、下の階でどれくらい音が聞こえるかを表したものです。
数字が小さいほど、遮音性能が高いということになります。
なお、近年では新たな表記の方法として、「ΔL(デルタエル)値」が用いられはじめています。
L値が特定の空間における防音性を表しているのに対し、ΔL値は、床材など防音性能の備わった製品自体の遮音効果を示す値です。
防音性の高いマンションの選び方【5つのポイント】

①建物構造
マンションの建物構造は、音の伝わりやすさと深く関係しています。
日本で一般的に用いられるのは、木造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)です。

重たい物質ほど、音を通しにくいという特性があります。
そのため、重量のある鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートは防音性が期待できるのです。
一方で、木造建築は、ほかの建築に比べて通気性が高い代わりに、防音性・耐久性には劣っています。
また、鉄骨造も、使われる素材や施工によっては木造と変わらない防音性能です。
②壁の厚さと構造
基本的に、壁が厚いほど防音性は高くなります。
これは建築音響の基本原則です。
特に重要なのは、隣の住戸との界壁です。
厚さだけでなく、素材や施工方法も重要となります。
- コンクリート壁
- 複層構造になっている
- ふかし壁工法が採用されている
設計に関する資料を確認できるのであれば、壁の防音性を示すD値もチェックしましょう。
③床の厚さと構造
床の防音性は上下階のトラブルを避けるためにも重要です。
壁と同じく、厚さが防音性に直結します。
実際に、子どものいる家庭の方で、床の厚さが物件購入の決め手になったという体験談もあります。
床構造の種類も、防音性を左右する要因のひとつです。
床構造は主に、直床と二重床の二種類に分けられます。

- 直床
コンクリートに直接仕上げ材を貼るため遮音性が安定しやすいのが特徴です。 - 二重床
床下の空間に防振材を入れることである程度の固体伝播音を抑える効果がありますが、設計によっては音が響きやすくなるリスクもあります。
④窓・サッシの性能
窓の遮音性能は、ガラスの厚さや枚数、サッシの気密性によって大きく変わります。
中でも効果が高いのは、複層ガラスや二重サッシです。
どちらもガラス窓が複数あり、その間に空気の層が含まれます。
空気層があることで、振動の伝わりを抑える効果が期待できます。
窓の遮音性能はT値の値で把握できますので、必ず確認しましょう。
⑤階数・間取り
部屋の位置も、音の伝わりやすさに関係します。
住戸が一階にあれば、階下に住む人がいないため、床を通して音が漏れるという心配はありません。
ただし、車の音など、外からの騒音が聞こえやすい側面もあります。
反対に、階層が高いほど、外部からの音は聞こえにくくなります。
また、間取りも注目すべきポイントです。
たとえば、寝室にあたる部屋が隣の住戸の洗面所と隣接している場合、水の音や洗濯機の音が睡眠妨害を生む可能性があります。
一方で、隣住戸との境となる部分に収納スペースなどがあると、生活空間同士の間があくため防音効果に期待できます。
なお、これら5つのうちどれか一つをクリアしているからといって、そのマンションが防音性に優れているとは限りません。
たとえば、同じSRC造のマンションであっても、壁や床の構造によって、音が伝わりやすい場合とそうでない場合があります。
自分でできる手軽な防音対策

マンションの騒音対策にはリフォームやリノベーションが必要なのでは?と思う方もいるかもしれません。
ですが、大きな予算や長い時間をかけずに、ホームセンター等で手に入るアイテムで、手軽に自宅の防音性を高めることもできます。
- 床:防音マット・カーペット
厚手の防音マットやカーペットを床に敷くことで、騒音が階下に伝わるのを防げる。 - 窓:防音カーテン・ブラインド
防音カーテンやブラインドを設置することで、外部からの騒音遮断につながる。 - 壁:家具の配置・吸音パネル
大型家具を壁際に配置したり、吸音パネル設置することで、壁の防音効果につながる。
床:防音マット・カーペット

足音や掃除機の音などの音が階下に伝わるのを防ぐため、効果的なのが防音マットやカーペットを床に敷くことです。
厚手のものほど、高い遮音効果が期待できます。
マットやカーペットには、防音効果だけでなく保温性やクッション性も期待できます。
ただし、滑りやすくなる場合があるので、転倒を防ぐために滑り止め加工がされているものを選びましょう。
窓:防音カーテン・ブラインド

窓は、外部からの騒音が侵入しやすい場所の一つです。
防音カーテンやブラインドを設置することで、外部からの騒音を効果的に遮断することができます。
防音カーテンは、特殊な繊維構造によって、音の振動を吸収します。
厚手のものほどより効果的です。
ブラインドも、スラットの角度を調整することで、騒音の侵入をある程度軽減することができます。
防音カーテンやブラインドを選ぶ際には、遮光性や断熱性も考慮すると、より快適な住環境を実現できます。
壁:家具の配置・吸音パネル

家具の配置を工夫することで、室内の音の反響を抑え、音の伝わりを軽減できます。
特に、本棚やタンスといった大型家具は、壁際に配置することで壁からの音の反射を抑えることができます。
その際、家具と壁の間に隙間を作らないように、ぴったりと配置することが重要です。
壁の防音には吸音パネルの設置もおすすめです。
リフォームで本格的な防音工事

リフォームをすれば、さらにしっかりと防音性を高めることができます。
防音対策としておすすめなリフォーム工事の例と、注意点を紹介します。
- 壁・床・窓などの部分的な工事
音が伝わりやすい壁・床・窓に工事をするだけでも遮音性向上が期待できる。 - 防音室の設置
楽器を弾いたりする場合は防音室の設置がおすすめ。 - 工事をする前の注意点(管理規約の確認・近隣への配慮)
工事前には必ず管理規約の確認と近隣住戸への連絡を行う。 - 補助金を使えるかも要チェック!
リフォーム内容によっては補助金の対象となるので工事前にチェック。(2026年5月時点:みらいエコ住宅2026事業、自治体による断熱リフォーム支援事業)
壁・床・窓などの部分的な工事

壁・床・窓はいずれも家の中で特に音が伝わりやすい・通しやすい箇所です。
そのため、これらにリフォームを加えることで、家全体の防音効果が高まります。
下記は、それぞれの箇所に施される工事の一般例です。
- 壁:内部に遮音材や吸音材を追加する
- 床:二重床、浮き床などへの変更で防振構造にする
- 窓:二重サッシ化する、内窓をつける
防音室の設置

楽器を弾くなど、どうしても自宅で大きな音が発生する場合、時間帯や音量への配慮に加え、防音室の設置のようなレベルの高い対策が有効です。
防音室は、遮音・吸音・防振など複数の技術を組み合わせて設計されます。
既存の部屋の壁や床を加工し、防音室に改装することも可能です。
ただし大がかりな工事となるため、マンションの規約をよく確認し、工務店などのプロによく相談しましょう。
工事をする前の注意点(管理規約の確認・近隣への配慮)

トラブルを避けるためには、工事をする前にいくつかの注意が必要です。
特に防音工事の場合、壁・床・天井などに手を加えることになりますが、これらは共用部とされている場合が多いです。
その際は管理組合の許可が必要となるため、必ず事前に管理規約を確認しましょう。
また、工事そのものが騒音問題に発展してしまうこともあるため、近隣の住戸にはあらかじめ工事のことを知らせておくなどの配慮も必要です。
補助金を使えるかも要チェック!
防音効果のあるリフォームの中には、補助金の対象となるものもあります。
下記は、2026年現在補助金の対象であり、かつ防音効果も期待できるリフォーム事業の一例です。
- みらいエコ住宅2026事業
床・壁・天井の断熱改修などのリフォーム工事を対象に補助金を給付する制度です。断熱改修は結果的に防音性能の向上にもつながります。
- 自治体による断熱リフォーム支援事業
自治体ごとに給付対象を公募する、既存住宅におけるCO2排出量削減やエネルギー消費の効率化・低炭素化につながる断熱改修を支援する制度です。
現状活用できる補助金の多くは、環境への配慮などを目的として住宅の断熱性能を高めるリフォームを対象にしており、防音効果はあくまでも副次的なものです。
また、補助金によっては指定期間内の予算に達した場合、新規での申請を停止することもあるため、その点にも気を付けてください。
マンションのリフォームやリノベーションについては、下記の記事でも解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
※ みらいエコ住宅2026事業
※ 公益財団法人北海道環境財団:【全国対象】既存住宅の断熱リフォーム支援事業
まとめ

マンションにおける音の問題は、自分だけでなく、同じマンションに住む近隣の人々の生活の質にも影響します。
この記事で紹介している内容を、ぜひマンション選びや対策の参考にしてみてください。
この記事の結論・まとめはこちら
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